私立ヘタリア学園〜イギリスとの恋物語〜part３

１０８話　俺は(イギリスside)　 ページ21

負けらんねぇ。

よくわかんねぇけど、なんだか、負けちゃいけない気がする。

イギリス「･･･････････」

爪の間に小さな石の粒が入り、ちくんと痛む。

地味に痛い。

イギリス「･･････A････」

･･････なんで俺、こんなに一生懸命になってんだろうな。

負けちゃいけない気がする、っていうそれは、一体なにから来てるんだろう。

･･････わからない。

わからないんだ。

どうして俺がこんなに焦ってるのかも、わからない。

イギリス「･･････俺、」

ああ、なんだろう。この胸のわだかまりは。

不安。

恐れ。

･･････なにに対しての？

Aのこと？

･･････あぁ、そうか。わかった。

俺のこのわだかまりの原因は、Aだ。

そんなことないはずなのに、Aがいつか俺から離れていっちまうんじゃないかって。

不安。恐れ。

････････なるほど。

そこで俺は、思ったよりも冷静に分析できる自分がいることに気づいた。

イギリス「それで、Aが『秘密』って言ったことに異常なほどショックを受けてたんだ、俺」

気になる。

もし、もしもバカフランスが言ったとおりに景品がAのキスだったら。

イギリス「････････いや、だ」


俺の長いようで短い自問自答が終わった。

これでハッキリした。

そう、だから俺は負けられないんだ。

･･････Aのキスのために。


・


・


・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Aさんside

A「ようやく勝敗が決まったね」

観客「････････」

あたりは話し声ひとつせずに、しん、と静まっている。

聞こえるのは、砂のこすれる音と、私の声だけ。

A「おめでとう」

私は、そう言って優勝者に微笑んだ。

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