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「…どうして?」
「A?」
「今のふたりは何も、してないじゃないですか。私が勝手に…怖がって…気を、遣わせて…なんで、優しく…する、の」

 押さえ込んできた言葉が溢れて出てくる。
 五条悟は目を見開いて固まってしまった。

「……でも、僕達が犯した罪だよ」

 Aの傍に移動して、膝を着いて見上げる。
 目尻を下げ呟く声はまるで、許しを願うような音だった。

「最初の頃、僕達は君に酷い態度をとった。そして、君の事を身勝手な理由で殺し続けた。…本当に、ごめん」

 思い出すように、悔いるように。

「…謝って、許されることじゃないし、そんな事…望まない。…でも、またAに会えて嬉しいってこと、沢山、救ってくれてありがとうって気持ちを、伝えたかった」

 へにゃ、と今にも泣きそうに笑う。
 優しくて、本当に五条悟なのか、疑ってしまう。

「ちょっとずつでいいんだ。無理強いはしないけど、分かってほしい。…償いもあるけど、それ以上に、君を大切にしたかったから」

 大切なんて、初めて言われた。

「でも、Aにとってそれが負担になるなら…もう、やめ…る。…うん。やめるよ。…ごめんね」

 ポタポタと、雨も降ってないのに五条悟の頬に水滴が落ちる。
 綺麗な目が見開いて、ピシッと硬直してしまった。

「ぁ」

 視界がぼやけている。なみだ。…私、泣いてるんだ。
 彼の綺麗な顔を汚してしまった。どうしよう、止めないと。
 泣き止んで、大丈夫だと伝えないと。

 そう思えば思うほど、息ができない。ずっとずっと仕舞い込んでいた黒い感情が顔を出してしまう。
 自分の気持ちが制御出来なくなる。

「…なんで、なんでよ」

 体が勝手に動いた。五条悟の襟首を両手で掴む。

 簡単に触れられたことに驚く余裕は無かった。迫り上がるモノが止められなくて、酷い泣き顔のまま口を開く。

「ず、っと、いやだったのに!…ゆるしてって、いったのに、ずっと、ずっと…ッ!!痛いの、嫌だった…!!死にたくない、のに、ずっと!!」

 死にたくなかった。嫌だった。
 許してほしかった。…もし、全部終わったら。普通の友達になれるのかな、なんて。
 でもそんな終わりが見えない地獄をずっとずっと、さ迷って。

 優しさも暖かさも、本当の友情も何もかも、諦めたのに。

 全部諦めた今になって、そんなものを見せつけないでよ。


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(プロフ) - 早く続きが楽しみです!泣いちゃいました更新楽しみに待ってます。 (3月29日 23時) (レス) @page33 id: 53e14be78c (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最高です!!泣きました (3月28日 5時) (レス) id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - とても面白いです!更新楽しみに待ってます! (3月26日 21時) (レス) @page24 id: 4ea54ee5be (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 面白いです!24時間が待ち切れない…!明日も楽しみにしております。 (3月23日 21時) (レス) id: f9511cc749 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なっしー | 作成日時:2024年3月21日 18時

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