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「五条と夏油から聞いたよ。私は、思い出せないけど、Aがどれだけ頑張ってきたのか、わかったから。…その姿も、きっと、呪いかなんかだろ?」
眉を下げて、また申し訳なさそうな表情で"子供のまま”のAを見つめていた。
繰り返す時間の中で、Aの身体は成長を止めてしまった。
呪いのようなソレは、高専に入学した日の姿のままAを閉じ込めている。
化粧と服装で誤魔化しているが、気が付く人はいるだろう。
「沢山聞きたいことはあるけどさ、それは、Aが話したくなったら聞かせて」
「は、い……っ」
揺りかごみたいな、優しい言葉だった。
だから、Aも素直に肯定する事ができた。
Aの反応を見て、家入は途端に安心するように息を吐く。
おかしいな、見た目は違うけど同じ歳なのに、随分と歳上のお姉さんに慰めてもらっているような気分になる。
安心、してしまう。
「あの…」
「ん?」
家入が緩やかな声を出す。高専時代じゃ考えられない光景に、やっぱり戸惑ってしまう。
声を掛けたは言いけれど、上手く言葉が出てこない。
「……ごめん、なさい。余計な、心配…。心配…?…かけてしまって」
これ以上彼女の悲しい顔を見たくなかったのに、Aの言葉にまた眉をギュッと顰めて泣きそうになっていた。
また、言葉選びを間違えたらしい。
繰り返してきた夢の中じゃないから、どの選択肢が正しいのか分からない。
ただ、どんなときも優しかった家入硝子に笑っていて欲しいだけなのに。
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妙(プロフ) - 早く続きが楽しみです!泣いちゃいました更新楽しみに待ってます。 (3月29日 23時) (レス) @page33 id: 53e14be78c (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最高です!!泣きました (3月28日 5時) (レス) id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - とても面白いです!更新楽しみに待ってます! (3月26日 21時) (レス) @page24 id: 4ea54ee5be (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 面白いです!24時間が待ち切れない…!明日も楽しみにしております。 (3月23日 21時) (レス) id: f9511cc749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっしー | 作成日時:2024年3月21日 18時