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「やぁ、久しぶり。居たの、気が付かなかったよ」
秋が過ぎて、冬も過ぎて。
新しい春になり、夏油傑は現れた。
任務で一般人を守っていたはずのAごと攻撃し、一瞬で死の海を作り出して笑っている。
その笑顔は見た事ないほど冷酷な筈なのに、脳のどこかで既視感を叫んでいる。
あぁ、違う。これは、何度も見てきた。
何度も体験してきた光景だ。
また失敗したのだ、自分は。
夏油傑は呪詛師になる。そして、羽柴Aを殺しにくる。
この後の展開が頭の中で鮮明に流れてくる。
そして、展開通りに夏油傑が動き出す。
その血に塗れた手で、私の顔を掴むんだ。
無能と罵って、指を折るんだ。
「非術師は守るべき。…そんなことは無いさ。むしろそんな馬鹿げたものを信じていた私も、お前も無能なんだよ」
あぁ、ほら。
無能は排除すべきだって、笑うんだろ。
「無能は排除すべきだ。あ、私は別だけどね」
「ぃ゛…っ！！」
「おやおや、力が弱すぎる。軽く握っただけじゃないか」
なんでそんな、楽しそうに笑うんだろう。
非術師を『猿』と呼んで、生き残っていた一般人を虐殺していく。
本当にあの夏油傑なのか、心の底から疑った。
何故、Aのことを殺すのか、理解出来なかった。
「なん、で…殺すの…」
この言葉も、何度も言った記憶がある。
少しでも時間稼ぎをしようと悪あがきしているだけだ。
それをわかっていて、夏油傑はニンマリと笑っている。
「無能と猿は殺す。それがより良い世界の為なんだよ。……君の事は、私が直接この手で殺したかったんだ」
訳が分からない。殺したかったって、なんで。
わたし、あなたになにかしたの？
気に触るようなことを、した？
分からない。何もかも。
接点なんて、ほとんど無かったのに。どうして私だけ。
気がついたらAは地面に倒れていた。痛みは不思議と感じない。寒くて冷たくて、悲しい。
何度も体験してきたこの感覚に、もう死ぬんだと悟った。
瞳を閉じて、夢であれと願う。
こんな現実、要らない。
要らないと捨てたはずなのに、また春の匂いが鼻を掠めるのだ。
「あの時、助けてと願ったら。君はどうしてくれたんだろうね」
そんな呟きが聞こえた。
───そしてまた、桜が舞っていた。
ぽつんと立ち尽くす、高校一年生の入学日。
全てを理解してしゃがみ込む。
ずっと、Aはこの夢を繰り返している。
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妙(プロフ) - 早く続きが楽しみです!泣いちゃいました更新楽しみに待ってます。 (3月29日 23時) (
レス) @page33 id: 53e14be78c (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最高です！！泣きました (3月28日 5時) (レス) id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - とても面白いです！更新楽しみに待ってます！ (3月26日 21時) (レス) @page24 id: 4ea54ee5be (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 面白いです！２４時間が待ち切れない…！明日も楽しみにしております。 (3月23日 21時) (レス) id: f9511cc749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なっしー | 作成日時：2024年3月21日 18時
