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結局、羽柴Aは戻って来ることの無いまま、自分達は卒業を迎えた。
予想通り家入硝子は泣いて泣きまくっていたし、探しに行くと言って聞かなかった。
必死に引き止める自分達も何度そう思ったか。
だが、置き土産のひとつすら残さない彼女がどこに行ったかなんて、分からない。
──五条さん。
──甘いもの、好きでしたよね。そこのお店で見つけたんです。…お節介だったら、ごめんなさい。
──将来…ですか。…普通に生きて、普通に死ねたら、それでいいですかね。
何時だって遠くを見つめているような彼女を思い出した。
「…クソが」
自分達の何が彼女を追い詰めてきたのか分からない。
ただ、胸の奥がギュッと痛む感覚がする。
時折、本当に嬉しい時彼女は星屑を撒いたように目を輝かせ、頬を赤くして微笑んだ。
そんな顔もできるのかと五条は驚いたし、もっとその顔を見たいと欲が湧いた。
ただ、仲のいい友人として過ごしたかった。それだけだ。
沢山救われてきた。だから、感謝の言葉を伝えようと思っていたんだ。
───あぁ、本当に…
「どこ行ったんだよ、あのバカ…」
まだ、ありがとうのひとつも言えてないのに。
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妙(プロフ) - 早く続きが楽しみです!泣いちゃいました更新楽しみに待ってます。 (3月29日 23時) (レス) @page33 id: 53e14be78c (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最高です!!泣きました (3月28日 5時) (レス) id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - とても面白いです!更新楽しみに待ってます! (3月26日 21時) (レス) @page24 id: 4ea54ee5be (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 面白いです!24時間が待ち切れない…!明日も楽しみにしております。 (3月23日 21時) (レス) id: f9511cc749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっしー | 作成日時:2024年3月21日 18時