76話 ページ29
「……殺されときゃよかったよ、本当に。もういやだよ」
「A？」
リドルはAの前へ行き、前からAを抱き締めた。Aは膝を割って、それを受け入れて抱き締め返す。
足が震えていた。呼吸も震えている。
「いいよ、オレが悪者でいいから……もう終わりにさせてくれ」
「A、大丈夫だよ。大好きだから」
「死にてぇ……」
「A、A、誰かを責めるのが疲れるって、優しい証拠なんだね」
「いいよ……もう……嫌だよ」
Aは、首を振って、吐き出すように。
「キミが誰も責めたくないって、誰も悪者にしたくないって言うならボクはそうするけど」
「……」
「誰も悪者が居なくたって、キミはボクのヒーローだから」
「……」
ぽた、ぽた、ぽたぽた、と。フローリングにAの涙が落ちる音が、ぱちぱちと音を立てる暖炉と似た、あたたかい音をしていたから。
リドルは少しだけすっきりとした気持ちになって。
「……お父様、ハグしてください」
立ち上がって、父親にそうせがんだ。
父親は、震える手でリドルの背中に手を回した。
互いに触れ合っている部分が汗ばむくらいの時間の後。
「……」
ぐす、と一つAは鼻を啜って、不承不承、と言った雰囲気のまま、それでも。
「お父さん、……私にも、」
父親は弾かれたように、リドルを抱き締めたままAも抱き竦め。
Aは父親の背中を一頻り引っ掻いていた。
それは責めているようで、しかし父親を許したがっている、許したがって、でも完全には許せなくて苦しんでいるような仕草だと、リドルは頭の片隅で考え。
そして、最後のひとかけら許せない理由が、自らが関わっている故にだと、そう知っているから満足げな吐息を吐いてしまって、そんな自分にほんの少しだけ愉快な気持ちになった。
きっとその話をしたらAは笑ってくれると、かわいいと思って、それを口に出してくれると、そう思ったから。
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功徳(プロフ) - オパールさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました🥰他の作品でもお待ちしてます🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - 2人ともかっわいい…。溶ける！素晴らしい作品を作ってくれて、本当にありがとうございますっ！ (11月10日 20時) (レス) @page47 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - Shiroさん» ｳﾜｰありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいすぎる……😚😚😚好き…… (2023年1月14日 23時) (レス) @page17 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
Shiro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。素晴らしい作品をありがとうございました！！読み進めていくうちに心が抉られ揺さぶられ、感動の連続でした。心情を細やかに書き出すことのできる語彙力・文章力、私も見習いたいです。本当に素敵な作品でした！✨ (2023年1月4日 2時) (レス) @page47 id: 033ac6eba0 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - チョコドーナツさん» お読みいただきありがとうございましたすぎる……！！！🥰🥰🥰タイトル回収のとこ盛り上がると思ってたのでめちゃ嬉しいです🥰🥰🥰ﾔｯﾀｰ‼️ (2022年8月1日 12時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
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