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暗殺一家が嫌で飛び出してきたのに、この2年自分が何で生計を経てていたかと言うと、それは暗殺だった。
人生とは皮肉なもので、あんなにいやだった筈の暗殺はこの20年弱ですっかり身に染みてて、逆にそれ以外の仕事を知らず、行き着いた先がこれ…
「家出た意味…ね」
そんな自分に苦笑を浮かべ、デスクの上のパソコンを開く。
表示されてる何通かのメールは様々な依頼、と言ってもまだそんなに多く選べる立場にない。
はぁ、とため息を吐いてから返事を送ろうとタイピングを始めると、携帯の機械音が部屋に響いた。
『はいはい、Aだけど』
着信画面を見ずに応答ボタンを押してスピーカーにしてタイピングを続ける。
『お前、声は多少の強弱はあるのに無表情なんだろ?気味悪ぃ』
その聞き慣れた声に、チラッとスピーカーになった携帯の画面を見ると【兄1】と表示されてた。
『誰の教育もせいだよそれ、兄さんは何で叩き込まれなかったのよ、恨むよ』
『俺の教育じゃなくて父さんな。んー俺は仕事好きだから感情消す必要なかったんじゃない?』
理不尽だわー、と棒読みで言いながらメールを打ち続ける。
『それよりお前仕事は順調か?』
『まぁ、ぼちぼち?』
『ならいいけど、母さん達心配してたよ』
『冗談キツいってー、どうせ、家の仕事が私に流れてないかって心配でしょ?』
『おぉー、ピンポン、大当たり』
そんな、為にもならない世間話を数十分してから、兄さんは、本題なんだけどと話し始めた。
『ある人の情報をお前の能力で調べてほしいんだ』
『でたー』
『頼むって、アギトが頭抱えてんだよ』
『は?しかもクソ兄貴の仕事の手伝いかよ、死んでもいや』
『ほんと、お前ら不仲だな』
『あいつがいつも喧嘩売ってるだけ、ま、仕方ないから今回は兄さんの頼みってことで、Aランクの報酬で引受てあげるよ』
自分の通帳を確認しながらそう言うと携帯からとんでもなくデカイ声の「はぁ?!」が聞こえた。
『え、家族なのに金取るの?!』
『勿論、私の口座に振り込んでって言っといて、情報は直接あのクソにメール送るから、じゃ』
返事を聞かずそのまま通話を切る。
あの、ショックな出来事から2年経った今、A=モートン 22歳 すっかりやさぐれています。
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ねこ娘(プロフ) - あの無感情のイルミをそこまでキャラも崩さずに描けるの尊敬します、、、主人公もイルミも感情がないはずなのにちゃっかり恋しちゃってる?感じがなんとも、、、ついに旅団と関わっちゃうのかぁ!!続きがとても気になります。更新頑張ってください!! (2020年3月20日 21時) (レス) id: d91513b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてらんど(プロフ) - あぁぁぁ胸きゅんする!!! (2020年2月9日 18時) (レス) id: b348ed70ca (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ワイワイタヤコンさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ありとあらゆる病原菌の自然宿主である黒猫さん» そう言ってもらえると嬉しいです! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
ワイワイタヤコン - 好きすぎて、読み返してる。 (2020年1月16日 1時) (レス) id: c66835a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花ノ絵 | 作成日時:2019年11月28日 23時