48ページ イルミ ページ50
Aとの電話を切って、そのまま別の番号にかけると何コールかした後にその人物の声がした。
『あんたから電話が来るとは思ってなかったよ』
『どういうつもり。クロロ』
『それはどういう意味で言ってる?』
『モートンって言うフリーの暗殺者に依頼したって聞いたけど』
俺がそう言うと、あー、と声を漏らす。
『旅団には、優秀な情報屋はいるし、暗殺にも困らない筈だけど?』
『ヒソカに話を聞いてね。少し興味深く思ったんだ。イルミには関係ない話だと思うんだけど』
いつもの、団長の口調では無い喋り方に違和感は拭えないが、外に出かけてるのだろう。
それより、ヒソカか。本当に余計な事をする。
そして、関係ないと言われ少し向きになってしまう。
『それ、俺の婚約者だから。それと、明日、Aは俺と用事があるから断りの連絡が行くと思うよ。なんなら俺が受けようか?』
『婚約者ねぇ、いや、断られたらそれでいい、あんたに頼むほどの事じゃない』
『そう、じゃあ切るよ』
そんな会話を交わし一方的に電話を切る。
ムズムズと言った感覚が自分の中で広がる。
ヒソカといい、クロロといい、Aの周りには人が集まる。
それをどこか、面白くない。そう思った。
翌日、20時に予定の場所で、慣れない正装で待ってると、Aが俺の送った黒いドレスに身を纏って、濃くない化粧に整った髪型で現れた。
「ドレスのサイズ大丈夫だったんだね」
「気持ち悪いくらいぴったりだよ」
ぴったりだと気持ち悪いの?
なんて思ったけど、例の件の話を切り出した。
「そうだ、振込先。倍払うって言ったからね、ミルキに頼めば明日には反映されるよ」
そう言って、携帯を取り出すとAがそれを止めた。
「大丈夫よ、仕事、受けることになったから」
「は?」
「案外優しいのね、明日にずらせないか聞いたら了承してくれてね」
断るんじゃなかったの?
その一つの疑問が俺の中で広がった。
クロロに教えたヒソカも、Aに依頼したクロロも、この依頼を受けようとするAも全て、俺を苛立たせる原因だった。
「死ぬかもね、A」
思ってもないことを口に出す。それは八つ当たりに似た何かかもしれない。だがAは何事もないように「そうかもね」とだけ言った後に、俺の腕に自分の腕を絡ませた。
「屋敷入ろう」
「…なんで密着する必要があるの?」
「恋人と思わせた方がスムーズでしょ」
それに、ふーん、と返事をして俺達は建物の中に入った。
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ねこ娘(プロフ) - あの無感情のイルミをそこまでキャラも崩さずに描けるの尊敬します、、、主人公もイルミも感情がないはずなのにちゃっかり恋しちゃってる?感じがなんとも、、、ついに旅団と関わっちゃうのかぁ!!続きがとても気になります。更新頑張ってください!! (2020年3月20日 21時) (レス) id: d91513b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてらんど(プロフ) - あぁぁぁ胸きゅんする!!! (2020年2月9日 18時) (レス) id: b348ed70ca (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ワイワイタヤコンさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ありとあらゆる病原菌の自然宿主である黒猫さん» そう言ってもらえると嬉しいです! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
ワイワイタヤコン - 好きすぎて、読み返してる。 (2020年1月16日 1時) (レス) id: c66835a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花ノ絵 | 作成日時:2019年11月28日 23時