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「じゃあ、こういうことする必要ないでしょ」
そう言うとイルミは少し考えて口を開いた。
「いつものAじゃなくてイライラしたから」
と答えられた。
いつもの私？そう思って尋ねようとしたけど、虚しく、またキスを交わす。
深く交わされるその行為が恥ずかしくて目を瞑る。昔の私だったら、今凄く幸せを感じているかもしれない。
でも、今は少し違う。
もう抵抗していないのもあって、イルミが私の手首を抑えることはなかった。
長いキスのせいで少しぼんやりする頭。
それでも、服の中に侵入してくる手で、一気に冷静になり、気づいた時には、イルミにビンタをしていた。
「…何するの？」
少し怒った声、少し赤くなった頬。
「最後までする気、ないから。愛のない行為なんて真っ平ごめん」
「元々、結婚する予定だったから、こういう事もするでしょ、そこに愛がなくても」
「でも、もう婚約は無しよ」
「破談になった記憶ないけど」
確かにその話が出たかと言われれば出てない。けど、十数年も誰もその話を出してないんだ、きっと破談になってるはず…そう、ずっと思っていた…
「…私は、貴方との記憶が無いし、仮に忘れてるとしたら、それが戻ることはないよ。それでもイルミは、昔の私にこだわるのだとしたら…今の私とは別人だと思って」
私の言葉に少しだけ目が揺らいだ気がした。
「イルミの中の私がどんな人だったかわからないけど…」
言葉を続けようとするとイルミに遮られた。
「いつも楽しそうで、ぎこちなくも俺の前では百面相して、愛されたいって言ってて、俺のことが好きで…俺とは全然違ってて…眩しくてはかりきれなかった」
淡々と説明された私はまるで、普通の女の子だった。
「そう」
私はそのまま服を整えてベッドから降りる。
「その私はもう死んだから…もう会わないよ、イルミ」
それを聞いて私は、その記憶が本物なら、全部思い出したい。そう思ってしまった。
でもそれが叶わない事を知ってるから。それなら辛くなる前にこの人を遠ざけないといけない。
「貴方が好きなのは、記憶の中の私。今の私じゃないでしょ？」
「今も昔も、好きという感情はないよ」
「じゃあなんで私を探すの？」
「わからない」
イルミがそう言うと、私はそのまま、窓から部屋を出た。
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ねこ娘(プロフ) - あの無感情のイルミをそこまでキャラも崩さずに描けるの尊敬します、、、主人公もイルミも感情がないはずなのにちゃっかり恋しちゃってる？感じがなんとも、、、ついに旅団と関わっちゃうのかぁ！！続きがとても気になります。更新頑張ってください！！ (2020年3月20日 21時) (
レス) id: d91513b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてらんど(プロフ) - あぁぁぁ胸きゅんする！！！ (2020年2月9日 18時) (レス) id: b348ed70ca (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ワイワイタヤコンさん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ありとあらゆる病原菌の自然宿主である黒猫さん» そう言ってもらえると嬉しいです！ (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
ワイワイタヤコン - 好きすぎて、読み返してる。 (2020年1月16日 1時) (レス) id: c66835a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花ノ絵 | 作成日時：2019年11月28日 23時
