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「お前の天職は殺し屋なんだから」

イルミにそう言われてキルアくんの表情が変わる。

「お前は熱を持たない闇人形だ」

その言葉にピクリと私も反応してしまう。
父に言われ続けた事が脳裏をよぎる。
『感情なんて不必要、お前は殺すことだけを考えればいい』
言葉こそ違えど、成す意味は一緒… そう思うと、途端にキルアくんが昔の自分に見えて仕方がなかった。

「ちがう…」

「自身は何も欲しがらず、何も望まない」

「ちがう…」

「お前が唯一喜びを感じるのは人の死に触れた時だけだ」

「ちがう…!」

「違わない、何故ならお前は俺と親父にそう育てられた」

ゾルディック家の教育がどんなものかは知らない… だけど、きっとうちよりもずっと厳しいはず…

「俺にだって欲しいものはある!」

「ないね」

「ある!今望んでいる事だってある!」

どこか苦しそうに言うキルアくん、自分と重ねてしまったせいで、同情してしまう。

「…ゴンと友達になりたい… 人殺しなんてうんざりだ、普通にゴンと友達になって、普通に遊びたい」

イルミに促されて、自分の思いを伝えるキルアくん。
その言葉に会場には沈黙が流れる。
イルミも何も言わない…
そう思った時に、沈黙を破ったのはイルミだった。

「無理だね、お前の友達なんて出来っこないよ」

言葉の一つ一つが少しだけ苦しそうに聞こえた…気がした。

「お前は人と言うものを殺せるか殺せないかでしか判断できない。そう教え込まれたからね、今のお前にはゴンが眩しすぎて計りきれていないだけだ」

キルアのゴンと友達になりたい、その気持ちを全面的に否定するイルミ。
でも言ってることは事実かもしれない… そう思ってる自分は嫌でも、自分がどう育てられたのかを思い知らされる。

私が考え込んでる間に話が進んでいたらしく、レオリオの声で意識が引き戻された。

「キルア、お前の兄貴だろうと言わせてもらうぜ。そいつは馬鹿野郎でげす野郎だ!聞く耳持つな!いつもの調子でさっさとぶっ飛ばして合格しちまえ!ゴンと友達になりたいだ?お前らとっくにダチだろうがよ!少なくともゴンはそう思ってるはずだぜ」

ビシッとそう言うとキルアの表情がまた変わった。

「ん?そうなの?」

「あたりめーだ!」

「そっか… 参ったな、あっちはもう友達のつもりなのか…」

考え込むイルミ、そして答えがでたのか、ぽんと手を叩く。

「よし、ゴンを殺そう」

何てことのないように言う… そうこれが私達(殺し屋)なんだ。

24ページ イルミ→←22ページ



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ねこ娘(プロフ) - あの無感情のイルミをそこまでキャラも崩さずに描けるの尊敬します、、、主人公もイルミも感情がないはずなのにちゃっかり恋しちゃってる?感じがなんとも、、、ついに旅団と関わっちゃうのかぁ!!続きがとても気になります。更新頑張ってください!! (2020年3月20日 21時) (レス) id: d91513b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてらんど(プロフ) - あぁぁぁ胸きゅんする!!! (2020年2月9日 18時) (レス) id: b348ed70ca (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ワイワイタヤコンさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ありとあらゆる病原菌の自然宿主である黒猫さん» そう言ってもらえると嬉しいです! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
ワイワイタヤコン - 好きすぎて、読み返してる。 (2020年1月16日 1時) (レス) id: c66835a7d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花ノ絵 | 作成日時:2019年11月28日 23時

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