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19ページ イルミ ページ21

『大事な何かを忘れていますか?』

何これ。
道中の質問でも思っていたけど…

大事な何かなら忘れてるはずないでしょ。

そう思って、ノーを答えようとするも、言葉が詰まる。

その理由はきっと、この胸の違和感…

ザワザワしてて、時にはギュッと締まる。

それはこのタワーの中に入って、正確にはAと一緒の時になる。

そういえば、いつ出会った?結局曖昧にされてその答えはわからない。
でもだからなんだ?
それが俺にとっての大事な何かなのか?

そんなわけないか。

そう思っていい加減答えようと口を開いた。

「はい」

思っていた答えとは違う言葉が自然と出てくると同時に、ピンポーン、って音が響きドアが開く。

大事な物を忘れてる。
忘れてるなら、俺がノーと答えてもそれが正解なはず。
自分は嘘をついてないから。

じゃあ… 自分の意思で忘れたのだとしたら?

あり得ないような答えが頭の中に浮かぶ。

「あの… イルミ?進まないの?」

覗き込んでくるAの顔を見ると、また胸がざわつく。

「…いこうか」

こいつが関係してると言うのか…?
仮に自分の意思で忘れたのだったら、何故その必要があった。
殺せば済む話だろ。
…殺せなかったから?

思考を巡らせてると広い部屋に出た。
そこには、1人の男が立っていた。

「ったく、あいつへましやがって、もっと難しい問題でせって言ったのによ」

その男によれば、先程の質問は、一緒に組んでる服役囚の人が出したもの。
俺達のこの塔での拘束時間がそのまま彼らの刑期に関係するらしい。

つまり、9時間経ってる今、9年分刑期が縮む。

説明が終わると、スピーカーから声がした。

「こいつら普通じゃねぇよ!自分に関する質問とかなら少しでも顔に何かしらの感情が読めるけどよ、この2人は表情ビクともしないから、答えたくない質問とか練れねぇんだよ!」

なるほど、そういう魂胆か。
納得すると、目の前の男は、うるせぇ!、と叫んだ。

「ここが、最後だ、俺を倒せばこの先の道はもうゴールだ」

自信があるのかそう強気に言う男。

だけど、最後の質問の整理がつかない俺は段々イライラしてきて。

「やっていい?」

「どうぞ」

俺がそう聞くと。Aは淡白にそう答えたので、素早く男の後ろに回って持っていた針を急所に刺す。
それでも収まらないイライラに意味もなく男に針を刺し続けた。

「それ、もう死んでるよ」

「知ってる」

「出よう」

その短い会話を経て、ギタラクルに戻って扉を開けた。

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ねこ娘(プロフ) - あの無感情のイルミをそこまでキャラも崩さずに描けるの尊敬します、、、主人公もイルミも感情がないはずなのにちゃっかり恋しちゃってる?感じがなんとも、、、ついに旅団と関わっちゃうのかぁ!!続きがとても気になります。更新頑張ってください!! (2020年3月20日 21時) (レス) id: d91513b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてらんど(プロフ) - あぁぁぁ胸きゅんする!!! (2020年2月9日 18時) (レス) id: b348ed70ca (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ワイワイタヤコンさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ありとあらゆる病原菌の自然宿主である黒猫さん» そう言ってもらえると嬉しいです! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
ワイワイタヤコン - 好きすぎて、読み返してる。 (2020年1月16日 1時) (レス) id: c66835a7d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花ノ絵 | 作成日時:2019年11月28日 23時

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