閑話：side降谷 ページ8
かちゃん、という音を聞いて顔を上げる。そこには風間が立っていた。机にはコーヒーが乗っている。
降「……風見か」
風「……その言いようは酷いと思いますが…、それよりも、持ってきましたよ、書類」
降「……僕よりもお前の方が鬼だな。僕を返さないつもりか？」
風「まさか。ただ、降谷さんしか確認できないものなどありますので……」
降「……」
風「……で、では、しつれいしま…」
降「風見」
風「…………はい」
降「勿論、手伝うつもりでこっちまで持ってきたんだよな？」
風「できないから持ってきたと言ったはずですが！？」
降「いいから、僕が目を通してお前でもできると判断したものを回していく。さっさとかかれ。でないと、お前が帰れなくなるぞ？」
そう言って、僕はすでに目を通し終えた書類に視線を投げる。僕の視線を追ってそちらを見た風見は目見開いていた。
そこにはすでに山のようになっている書類が積み重なっている。
風見が何かを言おうと口を開いたのを見て、それをかき消すようにして声を上げる。
降「もちろん、できないなんて言わないよな？お前は、“優秀な”部下だからな。信頼してるぞ、風見？」
風「降谷さん…っ！！」
ニッコリと笑いながらそう声をかければなんだか悔しそうな声を絞り出した風見。
そんな声を出しても無駄だ。さっさとやれという視線を一瞬だけ向け、僕は自分の仕事を減らしていく。
目を通すだけなら何ら問題はない。あとは、本当に僕がやらなければならない仕事と他の者がやってもいい仕事に分けるだけだ。
その程度の仕分けならお昼までには終わるだろう。
ちなみに、今はまだ朝の9時半過ぎだ。
書類は作るのが大変なだけであって、確認するだけなら正直に簡単だ。
あとは訂正箇所を指摘したり、全てを作り直させたりということがあるだけ。
他の重要機密の書類は勝手が違ってくるが、前者のものは僕ではないものでとできる仕事だ。というよりも、僕の仕事ではない。部下の仕事だ。
だから、決して押し付けではなく、その程度の仕事も僕に押し付けてくるこいつらが悪いというだけだ。
風見だけに言っているのではないというのを分からせるために、僕は大きな声で言った。
降「別に、風見一人だけに任せるわけではないからな？」
そういえば、風見がばっと後ろを向いてテキパキと仕事を分け始める。その光景を笑いを押し殺しながら見つめつつ、自分も仕事に戻った。
午後は彼女を迎えにいくために時間を作らなければならない。
そのために集中して仕事を行なった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
