優しさをください。82 ページ16
思わず体がずるっと後ろに下がってしまったけれども、それはほら。安室さんと手を繋いでるから。限界というものがあって。
ガッチリと握られている手をこれほどまでに恨めしいと思ったことはない。私はそれでも受け入れてはいけないと思い、首を思い切り左右にブンブンと振りまくる。
そんな私をそれでも笑顔で見つめている安室さん。
……周りから見たら、さぞおかしな二人組だと思う。
安「なにも心配は要りませんよ。はい、こっちにきてください」
『いっ、行きたく、ありま、せんっ……！』
安「まあそういっても連れていくんですけどね」
遠慮なく私をずるずると引きずるようにして進む安室さん。遠慮がなさすぎる気がするけれど、この際もうそんなことは気にしない。
それでも抵抗する私。それに対して、安室さんは何故か引っ張る力を弱める。けれどここで気を抜いたらまたら安室さんに引っ張られる可能性が高い。
私は、気をぬくことなく、グイグイと自分にある力を目一杯使って安室さんを自分の方へと引き寄せる気持ちで引っ張り続ける。
……びくともしていないんだけども……。
安「……なるほど」
『(？なにがなるほどなんだろう？)』
安室さんのそのつぶやきに、私は内心で首を傾げて、そして口から悲鳴をあげた。
『きゃっ！？』
頑張って引っ張っていた私など気にも止めず、安室さんは私を引っ張る。
先ほどまでの力とは違い、抵抗できるほどのものではなかったため、必然的に私は安室さんの腕の中に収まってしまう。
それに恥ずかしさを覚えて顔を赤くする。
が。
さらなる悲劇が我が身に起こったのを自覚したくなかった。
『あっ、安室さんっ！？お、下ろしてください！』
安「下ろしたら僕から逃げようとするのでしょう？なら、下ろしません」
『でっ、でも！！』
安「少しの距離ですよ。ほら、あの一番奥の席までです。近いでしょう？」
『遠いですよ！？』
安「そうですか？全然近いと思いますが」
『と、とにかく下ろしてください！安室さん！』
安「店内でそんな大声を上げると注目の的ですよ？」
『既になってます！！』
そう、あろうことか、安室さんは私を抱き上げたのだ。しかも、安室さんの腕に座るような形での抱き上げ。
視線がいつもより高すぎるくらいに高くてちょっと怖いほどなのだが、それと同等に恥ずかしさが襲ってくる。
安室さんが歩く振動が伝わってきて、かすかに揺れる。
その振動を感じながら、私は公開処刑を受けている気持ちで連れていかれた。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
