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私の贖罪 ページ1
雲が地に影を落とす昼下がり。
その日はいつも通りとは言えず、部屋の中にいてもサイレンの音が耳に響く。
ふとカーテンをめくると予想していた物事が脳からそのまま映し出されていた。
交通事故だ。
『……』
「何がそんなに悲しいのさ」
僕が問うても、Aはこちらを向かずただ一点を見つめている。
虚無的に彼が見つめている先には一人の少女が泣いていた。ぐちゃぐちゃになった声の中に「おかあさん」と確かに聞こえて、馬鹿でも察することが出来るそれに憐れだと思う。
顔色一つ変えやしないけど。
それでもAは何か思うことがあるようで、ずっと俯いたままでいる。風が入ってこないので前髪が揺れることなく、そのままずっと顔色が伺えない。
ただ、それでも一言。
『母は、大切ですもんね』
ようやく彼の顔が見れた。
笑っているのか泣いているのか分からない顔だった。
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