□8. ページ9
「おいガキ共!」
こちらへと歩いてきたかと思えば、彼は急に大声を出す。
もちろん子供たちはびっくりして目を瞑る。
「おれはサブとちゃう、スーパーサブや!覚えとけ!!」
『…大人気ない』
「んー?なんか言うたか?」
私の顔を覗き込んでくる真田選手。
むっとしてその目を見ていると、後ろから「よせよ、真田」というヒデ選手の声。
…やっぱヒデ選手が1番だよ。
屈めていた腰を元に戻した真田選手の視線はヒデ選手の方へ。
「ヒデさん。俺、アンタをライバルって決めたから」
「え?」
「今度の試合で決着つけましょうや」
少しだけ怪訝そうな顔をしたヒデ選手だけど、ふ、と頬を緩めて腰に手を当てる。
「その前にまずゲームに出ること…だな」
「もちろんですよ」
…と、その場にフラッシュ。
2人の写真を収めようとカメラを構えていたのは香田さんだった。
「宣戦布告ね、面白いわ!」
「いいねぇ、スピリッツとビッグの今季最終戦はウチで放送するから、我々もどんどん盛り上げていくからね!」
香田さんの横に出た山森さん。
最後に「2人とも、検討を祈ってるよ」なんて軽そうに付け足す。
何か用事があったらしいヒデ選手はこの場を後にし、真田選手に続きは最終戦だと言い残す。
…それはそれは。東都スタジアムまで見に行かなくちゃだね。
「ヒデ、走る姿もかっこいいねぇ!」
「俺、走るの苦手だからなぁ…」
ヒデ選手の後ろ姿を見ながらも元太くんが呟く。
…元太くんは少しガタイが良いから、ね。
「僕もです…」
「…Jリーガーにはなれないね、」
そんな私たちの会話を聞いていた選手たちが「そんなことないよ」と優しげな笑みを浮かべた。
「足が遅い選手は、Jリーガーの中にも沢山いるよ!」
「ほんとですか!?」
残念そうな顔つきだった光彦くんがはっと選手達を見上げる。
「足が遅ければ、他の選手より先に走り出せばいい」
「ただし、そのためにはゲームの流れを読む力や、判断力を磨かなきゃならない」
「そう、要は足のスピードより考えるスピードを早くすること」
「足が遅いために返ってそういう力を身につけ、活躍している人は大勢いるよ!」
そんな説得力のある言葉に、3人とも顔を輝かせた。
696人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ