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「小学4年生でした」
「…そうでしたか」
「元々知史は体が弱くて、医者から激しい運動は止められていたんです」
気まずそうに口を開いたおじさんに応える本浦さん。…小学4年生って、まだたったの10歳。
『あれ、じゃあこの写真は…』
「どうしてもサッカーがしたいと言うので、榊監督に無理を言ってチームに入れてもらったんです」
『…そうですか、』
「その写真は、監督の好意で1度だけ試合に出してもらいゴールを決めた時のものです」
本浦さんの言葉に、子供たちがわいわい話しているのを聞きながらもその写真を見つめる。
携帯の向こう側にいる知史くんは、確かにゴールを決めて嬉しそうにしていた。
…なんか昔の新一見てるみたい。
そう思い、新一の方を見るとなにやら本浦さんをじっと見ている。
『…え、どしたの?』
「……いや、なんでも、」
なんか怪しいことでもあったかな。
考えてみるけれど、本浦さんの言動に不自然なことは無かったような…。
「ところで、何故この写真を私に?」
携帯を返しつつも不思議そうに訊ねたおじさん。
…確かにそれは思ってた。
「いや、…ただ、知史が生きていた証を見ていただきたくて。…楽しい雰囲気を壊してしまったようですみません」
そう残すと、2人の男性は小さく会釈して去っていってしまった。
…私たちの間にしんみりとした空気が流れる。
『……切ないね』
「…ああ、」
新一の隣でぼそっとそんなことを吐いた時だった。
このしんみりとした空気をぶち壊す博士の声が響いたのは。
「そうじゃ!こんな時は!!」
もちろんその声だけで博士が今から何を言おうとしてるのかこの場にいるほとんどの人が察した。
パチリと目が合った哀ちゃんが、呆れ顔でため息をつくような仕草をしたのが分かった。
「いつものクイズで明るく楽しく行きましょう!」
『…だと思ったよ』
「ではでは、皆さんもご一緒に!」
おほん、と咳払いをひとつした博士は得意げにクイズの問題を語り出した。
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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