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「お待たせしました、毛利先輩」
声のした方を向けば、そこには2人の男性が立っていた。…毛利先輩だって。
片方の男性が「少しよろしいですか?」と伺ったのに対して小さく頷くおじさん。
「ご紹介します。…こちら、杯戸町にある町工場の社長さんで、チームスポンサーの会長を務める本浦圭一郎さんです」
「本浦と申します。ご光栄はかねがね…」
本浦さんと紹介された人は、ぺこりと頭を下げた。
…ご光栄って、ほとんどは新一のおかげだけどね。
「本浦さんは先輩の大ファンで、この会場に来ていると伝えたらぜひお会いしたいと…」
「そうでしたか、」
「毛利さんにどうしても見ていただきたい写真がありまして…」
本浦さんが胸ポケットから取り出したのは携帯。
目を丸くさせて「私に?」と言うおじさんにその画面を見るように言った。
携帯を受け取ったおじさん。
「歩美たちにも見せてー!」
「見ようぜー!」
新一の髪の毛をぐしゃぐしゃに掻き回していた3人はおじさんの方へと行く。
取り残された新一が困ったようにボサボサになった髪の毛を直していた。
『…うしろ』
「うわっ!…あ、ありがとよ」
『…え、何その反応』
後ろの髪の毛を直してあげると、ぎょっとして肩を竦めたかと思えば、引きつった笑みを浮かべる新一に眉をひそめる。
…そんなに触られるの嫌だったかな。
「コナンくんと愛花ちゃんも一緒に見ようよ!」
『あ、うん!』
歩美ちゃんの声に、私はみんなの元へと駆け寄る。
…少し遅れて新一も。
覗き込んだ携帯に映っていたのは、小学生くらいの男の子だった。
「この写真は?」
「息子の知史です…他の写真も見てやってください」
『…サッカーやってるんだ』
写真に写るその男の子は、全てサッカーをやっている様子だった。
ユニフォームに、赤いリストバンド。
『楽しそうだね』
「ああ、そうだな」
「今日は息子さんも来ているんですか?」
私とおじさんの言葉に続いて、顔を上げた蘭が本浦さんに尋ねる。
「それが…実は知史くんは今年の8月に病気で亡くなってしまったんです」
本浦さんに代わって答えたもう1人の男の人。
私も含めたみんなは、その言葉に顔を上げた。
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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