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今度は私たちの番だ。
ヒデ選手の蹴ったボールが綺麗な弧を描いて新一の方へ。
それを胸で受け止めた新一は、上手にリフティングを繰り返した。
『……かっこいー、』
やっぱりこうして見てみるとかっこいい。
新一がサッカー部だった中学の時だって、試合を見ていて1番輝いていたのはやっぱり彼だった。
…ちょっと贔屓はあるかもだけどね。
「───おい、愛花!」
『へ?…んぶっ…!!』
ぼーっとしていた私の顔に直撃したサッカーボール。
思わずどさりと尻もちをつく私に「なにやってんだよ、」と駆け寄ってきた新一が手を差し伸べる。
「…見とれてたろ」
『違う』
「だって俺のことは見てたのに…」
『自意識過剰!…もう、貸してっ!』
…見とれてたのは事実だけど。
…めちゃめちゃ図星だけどっ!!
私は新一からボールを取ると、ぽんっと上に蹴りあげて今度はヒデ選手の方へと返した。
·
『む…』
気がつけば私たちの周りには人だかりができていて、サッカーの上手な新一を見て感心していた。
…当たり前じゃん、そんなのずっと前から知ってるよ。
なんだか疎外感を感じてため息をつくと、器用にボールを操る新一を見る。
ぽんっと軽くヒデ選手へと返されたボール。
「…参った、降参」
それを胸で受け止めたヒデ選手は、ふぅ…と息を吐くと小さく笑って両手を挙げた。
それと同時に新一の元へと駆け寄るみんな。
私はむっと唇を尖らせる。
…知ってますよ、私が運動音痴で特に球技はできないことくらい。
…サッカーだけはちょっとできるつもりだったんだけどなぁ。
「君、サッカー経験はあるのかい?」
『へっ、…あ、いや…ないです』
びっくりして顔を上げれば、私のすぐ横に立っていたヒデ選手。
否定すれば、彼は目を丸くさせる。
『あ、でも小学生の頃から幼馴染に…』
「小学生?」
『よ、幼稚園!!』
慌てて言い直した私に一瞬キョトンとしたヒデ選手だけど、その顔はすぐに笑顔に変わる。
あ、笑ったら少し幼くなって可愛い…。
「すごい上手だったよ」
『あ…りがとうございます…』
くしゃりと私の頭を撫でたヒデ選手。
ぽっと頬が赤くなるのを感じていると、私の横を赤いユニホームの人が通り過ぎた。
…あ。
『…比護選手』
·
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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