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『…かっこいい』
私たちの目の前でボールを持つ“彼”を見て、私はぽつりと呟いた。
そう、私たちが来ているのは米花スポーツランド。
抽選で当たったサッカー教室のために少年探偵団のみんなと共にやってきた。
「じゃあ、そろそろこっちも始めようか」
ヒデ選手の言葉に元気よく返事をするみんなにワンテンポ遅れて「は、はい…」と小さく言う。
間近で見るとさらにかっこよくて、思わず緊張してしまう。
…ちゃんとした姿で会いたかったのに。
「あ、10番と11番の2人!」
10番は新一、11番は私のことだ。
呼び止められて大きく肩をすくめると後ろを向く。
なにやら最初は4人でやるから私達はその次でお願いしたいらしい。
人数が多いと大変だもんね。
戻ってきた私と新一に「どうしたの?」と目線を合わせるように腰をかがめた蘭が言う。
「少し休んでろって…初めは4人だけでやるって!」
新一がそう答えた時だった。
蘭と園子の奥───ウトウトしていた小五郎のおじさんに話しかける1人の男性。
「私、日売テレビのスポーツ情報局部長、山森と言います」
「あ、ああ…」
右手を差し出した山森さんに、戸惑いつつも握手をするおじさん。
「いやぁ、有名な探偵の毛利さんに会えるなんて感激だなぁ!香田ちゃん、1枚撮って!」
「はーい!いいですよ!」
香田ちゃん、と呼ばれた女の人は振り返ると2人の写真を撮る。
山森さん?だっけ。
強引な人…っていうか変わり者っていうか。
「彼女は日売新聞のカメラマン、香田薫くん。前は社会部にいたんですが、今年スポーツ芸能部に飛ばされたんです」
「山森さん!何もここでそんな話…」
「でも!こっちでいくつかスクープを物にしたら社会部に戻してやるって言われてるんだよね〜?」
「え、えぇ…」
よく分からない事情を聞きながらも、私はあくびを零す。…だってあんまり面白くない。
『早くサッカーやりたいな…』
「球技苦手なのに?」
『んな…!』
私の呟きが聞こえたのか、新一はからかうようにニヤニヤしながらこちらを見ていた。
…自分がちょっとできるからって!!
『サッカーも野球も観ます!!』
「観るだけじゃ上達しねーぞ?」
『うるさいなぁ、サッカーバカ!』
そんな会話を繰り広げていると、向こうを指差した園子が「ねぇ、あれ見て!」と声を上げた。
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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