寝る前何か考える人ですか、無心になる人ですか ページ37
(なんか、下の階賑やかだな....)
仰向けで天井を見つめながら、床の下から微かに聞こえる男達の騒がしい声に耳を傾ける。
隣に目線を落とすと、私に背を向けた男がもう一人。
そこまで遠くないけど、近くもない距離。
手を伸ばせば中指の先ぐらいは届きそうなくらい。
その男は木刀を抱き込むような体勢で、少し荒い呼吸をしながら横たわっている。
今夜はあの晩のような雨もなく、澄み切った空に満月が浮かんでいる。
戸から漏れる眩しいほどの月の光が彼の背を照らす。
「銀さん....起きてます?」
小声で彼の名を呼ぶと、
「んー。」
唸るような短い返事が返ってくる。
あまり迷惑にならないよう我慢しているつもりではあるが、
結局もう10回以上はこのやり取りを続けてしまっている。
故意ではなくても、私に間違って変な事をしでかさないようにと、男はずっとこうして背を向けた状態でいる。
私は四日前の晩の恐怖で心が鎮まらず、いつまでたっても目が冴えたままでいた。
と言うのはもちろん本当の事だが、私の心が騒がしい一番の理由は、
彼、坂田銀時という男の存在を意識してしまうからであった。
(ど───してこんなに意識しちゃうかなぁもう....)
銀さんが歯磨きを終え、寝床に着いてから早三時間。
何か進展がある訳でもないのに、ていうかあったら困るんだけど!ずっとこうして落ち着けないでいた。
(意識しないようにと意識してしまう...これ眠れない....)
でも、本当のところ、そこまで寝たいと思っていなかった。
彼の背中をただ意味もなく見つめるのが、何となく嬉しいからだ。
(何だろうな....変な感じ.....。)
この一通りのフレーズを、私はあれから何度も繰り返している気がしなくもないが、気に停めないでおこう。
銀さんのこけしのような変な目覚まし時計の針が、静寂を規則的な音で刻み続ける。
「また来るよ」とどこぞのおじさんのご機嫌な声が扉を開く音と共に外から聞こえた。
たぶん、下の階は居酒屋なのだろう。
私は大抵心の中が騒がしい人間で、こうして黙っていると色々と思惑にふけってしまう。
月の光に照らされる彼の白いふわふわなくせっ毛を見ながら面白いな、なんて思っている時だった。
突然、銀さんの体が動き、私の方に寝返りを打った。
ようやく目に映った銀さんは、
眉間に皺を寄せて、どうにも息苦しそうに浅く呼吸する様子を見せた。
大人というのは魅力的に見えるが、存外大したことなかったりする→←一方的な感情というものはいつも切ない
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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー!鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね!ありがとうございます!(´∀`*)続編というか、新作ですが;; (2019年7月15日 9時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして!コメントありがとうございます!!ご感想とても嬉しく、励みになります!。°(°´∀`°)°。銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽`*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とても面白いです!この作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月10日 22時