自分で働いて手に入れた五千円は人からもらった一万円よりも価値がある ページ27
「あの、万事屋ってつまり、便利屋みたいな感じですか?」
「そうそう!何でも屋って意味です!」
私の質問に答えたのは新八くん。
「もしかして、神楽ちゃんと新八くんもこの万事屋の従業員?」
「ご名答ー。」
にやりと笑う銀さんに、神楽ちゃんが口を開く。
「でも給料払わねーブラック企業アルよ、覚悟決めるヨロシ、A。」
「おい、何で採用したばっかりの新入社員の前でそんな人聞きの悪い事言うの。騙されたとかほざいて告訴されちまうだろーが!」
「いや銀さんのその言葉でたった今収集つかないほどイメージダウンしましたよ。」
三人のテンポのいい言い合いを見て思わず笑ってしまう。
こんなに楽しい社員がいるなら、無給料でもいいかもな、なんて甘いことを考えながら。
「神楽ちゃんと新八くん以外に万事屋の従業員はいるんですか?」
「いんや、俺達三人でやってるよ。」
投げかけた質問に銀さんが答えた。
そしてそのまま私に話を続ける。
「お前どうせ泊まる宛もないだろ。
食費、光熱費、水道代、家賃、その他諸々こっち負担でここに住まわせてやるよ。
つまりタダ働きでタダ住まいってわけだ。
依頼人によって報酬も様々だから、給料は臨時ボーナス程度に考えとけ。
呑むか?」
無茶苦茶な話だとは思うが、
「呑みます!」
私は即答した。ありがたい話だ。
行くあてのない私に仕事と住む場所を与えてくれたのだから。
それにやっぱり、この人達と一緒にいれることが、今は一番嬉しかった。
「そんじゃ俺たちは今から仕事だから、お前はここで安静にしてろ。今日のお前の仕事は自宅警備だ、いいか、しっかり責務を果たせよ。」
「は、はい!」
気付けば新八くんと神楽ちゃんの銀さんを見る目は、とても穏やかなものになっていた。
無給料でも彼女達がここで働く理由が、今ほんの少しだけ垣間見えた気がした。
「それじゃAさん、机に薬置いてるので飲んで下さいね。僕達7時くらいには帰ってきますから。」
「行ってくるアルー!」
そうして賑やかな声が玄関から出て行ってしまった。
見送りを終えて、居間に戻ると薬を飲んだ。
後ろになにか気配を感じて振り返ると、そこにはつぶらな瞳で私を見つめる定春の姿があった。
「そうだね、一人じゃないもんね。」
そっと定春の真っ白な毛並みに触れる。
「これからお世話になります、よろしくね。」
私の言葉を理解したのか、定春は返事をするように鳴いた。
人は大方外見で判断する生き物である→←しかし、チンピラと呼ぶにはあまりにも真っ直ぐな目をした男だった
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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー!鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね!ありがとうございます!(´∀`*)続編というか、新作ですが;; (2019年7月15日 9時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして!コメントありがとうございます!!ご感想とても嬉しく、励みになります!。°(°´∀`°)°。銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽`*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とても面白いです!この作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月10日 22時