No.041 あと少し ページ41
.
俺のため息にぴくりと肩を震わせたAが、おそるおそるといった様子で俺の腕を抱きしめた
「ゲン、怒ってる？」
「怒ってる」
「ごめんね」
「なんでお前が謝るんだ」
「私に怒ってるわけじゃないの？」
「お前に怒ってるわけねぇだろうが」
「ほんと？」
「ああ。Aにじゃねぇよ」
ひとりだけ何もわかっていないようなきょとんとした顔で俺の後をついてくるAが、俺の顔を覗き込んで不安そうに問いかけてくる
それがかわいくて、Aの頭には大きすぎるフードの中に思いっきり顔を突っ込んで、そのままキスをした
最初はその勢いにびっくりしたようだったが、すぐにすがりつくようにして両手が俺の体に触れてきて、その手を受け入れるようにして腰を掴んで抱えあげて、抱きしめながらまた歩き始める
「お前器用だな」
「なんだその格好」
「落とすなよ」
「優しくしてやれよ」
「ゲンがAに酷いことしたことねえだろ」
「まあな」
「俺たちだって実は結構怒ってんのにな」
「はは、たしかに」
サブとバラの呆れたような会話が聞こえる
フードの中でもこれだけ聞こえるのか、と思って、本当は聞こえてたのかと焦った
少し口を離してAを見ると、暗いフードの中で俺と目が合ったことが楽しいようで、ふんわりと微笑む
「さっきなんか聞こえたか」
「さっき？」
「俺が暴れ回る前」
「うーん」
「聞こえなかったか？」
「なんかって？」
「不快なこと」
「私にとって不快なこと言ってたの？」
「聞こえてねえならいい」
「えー、教えてよ」
「教えねえ。いまの会話全部忘れろ」
「え、忘れられないよ。ゲンとの会話は全部覚えてる」
「……なら忘れなくていい」
「変なの」
「うるせえ」
にこにこと楽しそう笑っているAは、どうやら本当に聞いていなかったらしい
また何度も何度もキスをして、サブとバラに方向を指示されて引っ張ってもらいながら寝床に着いた
このままツェズゲラのカード補給を潰して、勝ちの決まった鬼ごっこをはじめたい
はやく500億を獲得して、こんな殺し合いをしないですむようになって、4人で暮らせる家を買って、Aを腕の中に閉じ込めて眠ってしまいたい
あと少しだ、と焦る気持ちを落ち着かせつつ、Aの髪をそっと撫でた
.
No.042 クリア報酬→←No.040 殺す以外に使い道なし
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
