でろあま彼氏にはきっと勝てない【🍥】 (ページ6)

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「なーるほどねぇ…」

久しぶりの打ち合わせから帰りドアを開けると、
玄関には泣きながら外に出ようとしているAと鉢合わせた。

泣いているところなんてほとんど見たことがないし、
この時間からAが家を出ようとすることなんてほとんどない。

今日休みって言ってたはず。

どうしたの、泣かないで、と抱きしめてやると
いよいよ本格的に泣き出してしまった。

小さな体を抱き上げてリビングに連れていくと漂う甘い香り。

あぁ、そういうことか。

ということで冒頭に戻る。

きっと手作りでチョコレートかなんかを作ってくれようとして、失敗した、というところだろう。

「なるせ、」

いまだぽろぽろと涙をこぼす彼女の顔を覗き込むと、
赤くなった目元の周りにはキラキラのアイシャドウが光っていて。

チョコレート渡すためにいつもはあんまりしないメイクまでしてくれたのかな、と思うと心がじんわり温まる気がした。

「A、チョコ用意してくれたの？ありがとうね」

俯いてる元気の無い頭をくしゃりと撫でると、

「…でも、失敗した、」

「え～？そうなの？ひとくちだけ食べてみてもいい？」

「！だめ、こんど、買ってくる、から」

「ちがうーーーー、Aがきょう、おれのために頑張って作ってくれたやつが食べたいの！
失敗したーって思ってるかもしれないけど、おれはAが作ってくれただけでせかいでいちばん美味しいから。」

ね？とほんのり色付いた唇にキスを落としてやると、
わかった、と言うように立ち上がった。

Aが持ってきてくれたショコラケーキは
見た目こそふっくらしているけどとっても美味しかったし、Aが頑張って作ってくれた、ということが何より嬉しかったな。

「A！めーーっちゃおいしいじゃん！」

「ほんと、？むりしてない？」

「むりしてるわけないでしょ！ほらAも食べよ
一緒に食べたらもっとうれしい」

「ぅぐ、、む、、、」

「ど？」

「…おいしい、、、」

「だよねぇ」

気分も機嫌も治ったようでにこにこしている彼女に
小さな箱を渡すと驚いたような顔をされる。

「あげる」

「あたしがすきな、あめだ、」

「たまにはいいでしょ？」

「～～～っ、だいすき！」

これからもずっと 2人でいようね。