コマンド22 ページ24
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部屋に入るとまだ微かに残るお米の匂い。一人暮らしとは思えないほど広い部屋に、沢山ある部屋。一面ばりのガラスから見えるのは都会の冷めた景色。トントンさんに案内してもらった部屋に、やたら図体のでかい男が寝ていた。
おでこには熱さまシートが貼ってあった。肩まで毛布に包まる彼の姿は、確かに弱っていた。トントンさんにお見舞いの品を渡し、ゾムと私とコネシマ、3人でやたら広い寝室、コネシマが起きるのを待った。
「ほんまに死んだように寝てるなぁ」
「起こすのも悪い。今日は帰るか」
「せやなぁ…明日来なかったらまた来るか」
大人しく寝室から出ると、トントンと鉢合わせした。彼はお盆にお見舞いに渡した林檎を載せていた。きっと部屋に運ぶ予定だったのだろう。
「コネシマ、起きそうにないので私たちはこれでお暇させていただきます」
「えっ、もう帰るんですか」
「コネシマが風邪長引いたらまた来るでぇ」
そう言い残し、ゾムは早々と部屋を出てしまった。私も一礼して部屋を後にしようとした。その時だった
「……あの、なにか御用でも?」
トントンさんの手は、確かに私の右手首を掴んでいた。彼の顔を見ると、何処か切なそうな顔をしたいた
「あっ…い、いえ。また来てください。コネシマも喜ぶと思うんで」
「はい、是非。」
遠くでゾムが私を呼ぶ声が聞こえ、私もコネシマの部屋を後にした。振り返らなかった。
トントンさんとコネシマ、ゾムの関係もに気になるが、はて、私は彼と初対面だろうか。以前、何処かで見かけた、もしくは挨拶を交わしたような…
「……いや、気の所為だな」
その時、私は気づいていなかった。携帯の着信が35件以上来ていたこと。その相手が、母親だった事に。
そして、自分の電子機器にいるはずのオスマンの声も昼休みから聞こえていなかった事に気づいていなかった。
黒く、美しい女が部屋から出ていったのを薄ら薄ら見た。熱で頭は動かんし、目もろくに開けられない。唯、幻聴なのか分からないが、Aの声が聞こえた。暫くするとトントンが入ってきて、器用に向いてある林檎を置いていった。
「…夢にまで出てくるとか、どんだけ好きなん自分」
きっと熱でやられたのだろう、そう思いもう一度夢の中に入った。明日はあいつに会えるようにと、願いながら
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雪飴(プロフ) - osmnさんはトルコ軍服だったはず… (5月15日 0時) (レス) @page5 id: d7ef61fced (このIDを非表示/違反報告)
がいこうかん(プロフ) - じばくとっこうたいさん» コメントありがとうございます!!更新が遅れていてすみません……今年も皆様に物語を届けられるように精進していきますよでご声援のほどよろしくお願い致します (2022年1月7日 0時) (レス) @page24 id: 5b2935e593 (このIDを非表示/違反報告)
じばくとっこうたい - すごく面白いです!最推しが三強なので本当にやばいです(迫真)推し達が含みのある言い方をする度にうおぉってなります。ヴァルキューレ戦記、飼育箱も大好きです!金曜日が楽しみです! (2021年9月6日 20時) (レス) id: 8209a7a990 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - がいこうかんさん» こちらこそ!ありがとうございました (2021年3月24日 6時) (レス) id: 60a73795c6 (このIDを非表示/違反報告)
がいこうかん(プロフ) - ネロさん» 沢山のコメントありがとうございます!これからどんどん絡み入れていきますので心待ちにしててください!作品ですね!読み次第コメントします!ありがとうございます! (2021年3月23日 23時) (レス) id: 5b2935e593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がいこうかん | 作者ホームページ:http://around-the-clock
作成日時:2020年11月23日 15時