コマンド18 ページ19
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Aが家に着く頃には既に空は真っ暗になっていた。辺りは家族の声が聞こえ、夕飯のいい匂いがする
自分の家にある高そうな車を見ると、Aは顔を顰めた
庶民的な民家が集まるこの地域の中に一つだけ浮くように立っている自分の家、Aの母親は有名なシステム会社"宍戸システム"の社長でありAは次期社長候補であった
「ただいま」
明かりが着いているのに"おかえり"が聞こえて来ない。道で匂った夕飯の匂いも、自分の家からはしなかった。Aは意を決したようにリビングへ行くと、母親がソファに座っていた
「遅かったじゃない」
「すみませんでした。少し寄り道を…」
「A、Aまで男に引っ掻き回されるの?」
またか、とAは誰にも聞こえないように呟くと母親が立ち上がりAの所まで歩いくる。
「私は男に惑わされたりしません」
「いいえ、あの子もそう言って惑わされ、ここから出ていった。貴方も私の事を裏切るのでしょう?」
「お母様、そんなことありません」
「嘘よ。そういえばこの前のテスト、下がっていたじゃない。相変わらず世界史は首位を取れないのね」
「すみません、私の努力不足です」
「いいえ、宍戸家の人間は天才でなければ行けません。努力ではなく、天性のものでどうにかしなさい」
「…はい。お母様」
「はぁ、あの子もA見たいにまともに育ってくれてたら」
そう言い残すと母親は自身の部屋へと戻って行った。扉が閉まる音が聞こえるとAは頭を掻きむしり、足音を立てて2階の自分の部屋へと上がって行った
「なんや、偉い不機嫌やな。どうしたん」
そう聞くのはパソコンの中にいる隠しコマンドのオスマンだった。Aは鞄をベッドに投げるとパソコンに向き合うように椅子に座った
「……母親が面倒くさくてな」
「そうみたいやなぁ」
「聞いていたのか…」
「録音してたけど、聞く?」
聞かない、と少し怒り気味に言うとAは机に伏せてしまった
「小さい頃からだったん?」
「……母があんなに私に厳しくなり始めたのは姉がこの家から出ていった時からだった」
「お姉さん………」
「母はシステム会社を経営していて、長女であった姉は小さい頃から厳しい教育をされてきたらしい。その代わり小さい頃は私に関心さえなかったが」
「……そか」
オスマンがAに言葉をかけようとしたが、Aは既に寝息を立てていた。オスマンは静かにパソコンの電源を消した
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雪飴(プロフ) - osmnさんはトルコ軍服だったはず… (5月15日 0時) (レス) @page5 id: d7ef61fced (このIDを非表示/違反報告)
がいこうかん(プロフ) - じばくとっこうたいさん» コメントありがとうございます!!更新が遅れていてすみません……今年も皆様に物語を届けられるように精進していきますよでご声援のほどよろしくお願い致します (2022年1月7日 0時) (レス) @page24 id: 5b2935e593 (このIDを非表示/違反報告)
じばくとっこうたい - すごく面白いです!最推しが三強なので本当にやばいです(迫真)推し達が含みのある言い方をする度にうおぉってなります。ヴァルキューレ戦記、飼育箱も大好きです!金曜日が楽しみです! (2021年9月6日 20時) (レス) id: 8209a7a990 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - がいこうかんさん» こちらこそ!ありがとうございました (2021年3月24日 6時) (レス) id: 60a73795c6 (このIDを非表示/違反報告)
がいこうかん(プロフ) - ネロさん» 沢山のコメントありがとうございます!これからどんどん絡み入れていきますので心待ちにしててください!作品ですね!読み次第コメントします!ありがとうございます! (2021年3月23日 23時) (レス) id: 5b2935e593 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がいこうかん | 作者ホームページ:http://around-the-clock
作成日時:2020年11月23日 15時