今世 五条悟 ページ32
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半壊気味の建物の中には異様な光景が広がっていた。
死んでいるであろう少女の死体を抱える白髪碧眼の男とそれを囲むようにして不自然に笑いながら拍手する信者たち。
キィ_と音を立てて入ってきた黒髪の男はその光景にか、それとも友人である白髪の男の何かが変わっていることに驚いているのか固まった。
「悟……だよな?」
「硝子には会えたんだな」
「あぁ、治してもらった。私は問題ない……いや、私に問題がなくても仕方ないな 」
黒髪の男は悔いるようにだらんと腕が垂れた死体の少女を見て言う。
「俺がしくった。オマエは悪くない」
「………戻ろう」
「傑、コイツら殺すか?今の俺なら多分何も感じない」
瞠目したようにその男を見つめる黒髪の男。
「いい、意味が無い。見たところここには一般教徒しかいない。呪術界を知る主犯の人間はもう逃げた後だろう……賞金首と違ってもうこの状況は言い逃れできない。元々問題のあった教団だ、じき解体される」
「 意味ね……それ、本当に必要か?」
響き渡る拍手の音と既に冷たくなって天内の体。
俺には傑の言う意味が本当に必要なものなのか分からなかった。
「 傑 」
「 ああ、気づいてる………上に何かいる」
天内の亡骸を傑に託してどんどんと大きくなっていく気配の元に俺は向かった。
『 ─ 術式順転“純“』
呪力を撒き散らしていた発生源は直ぐに見つかった。
「…………おまえ、だれ?」
『………ねえ、お前が甚爾をこうしたの?』
亡骸を大切そうに抱き抱えていた青銀髪の女は、高くもなく低くもないどこか耳に残る無機質な声と共に振り向いた。
黒眼と碧眼の視線が絡まる。
随分厄介な術式だな……
まあ、今の俺が負けるわけないけど?
「術式反転″赫″」
『術式反転″混″』
“赫“があの女の混とやらに相殺された?
何なのこいつ?てか俺が質問したのに答えないっておかしいでしょ。
呪術師なのか……いや、俺とタメ張れる強さの呪術師なんていないしな。
あの男の亡骸を守ってる当たり呪詛師の可能性の方が……
『 私は……愛囁天女。甚爾には一時期私の先生をやって貰ってたの』
__それは俺が幼い頃必死に探していた特例特級呪霊の名前だった。
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武藤で無糖(プロフ) - みくさん» ヒョエーーー!そう思って頂けて嬉しい限りです。コメント凄いモチベになります!ありがとうございます߹ᯅ߹ (2022年11月8日 14時) (レス) @page28 id: 6b6a37760c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ヤバい...物語の進み方が好きすぎる...設定が好き....面白すぎます!夢主ちゃんのこういう感じ、めっちゃ好きです!! (2022年11月7日 20時) (レス) @page7 id: c22457a4d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:武藤で無糖 | 作成日時:2022年10月23日 15時