【刀剣乱舞】生まれ育った本丸、何かブラックにされたらしいんでちょっと行ってきます。

＃二十六振り目 ページ28

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「お前...、どこで、これを」



ようやく、振り絞って出されたような掠れた声。
大倶利伽羅が、顔を上げてこちらを見る。

混乱、悲哀、愛着、その他もろもろ。

あらゆる感情がないまぜになって、その金色の瞳を揺らしていた。




『...８年前の誕生日に、...私と仲が良かった４人組から貰った。
竜と、三日月＿＿、弦月を模した髪飾りだよ、って言われて、渡された。...伊達政宗って、弦月の前立てと独眼竜っていう仇名で有名だから、これで皆お揃いだよね、って...！』




冷静に、話していくつもりだったのに。

記憶が鮮明に溢れ出てきて、もうどうしようもなかった。


＿＿＿そう。

"あの日"、小学校へ行く直前、私はそれを受け取っていたんだ。




［ホントは君が帰って来てから渡したかったんだけど、ちょっとね］

［俺たちがデザイン考えたんだぜ！？どうだい、イケてるだろ！］

［ちなみに言っておくと、この４人全員とお揃いだ！お前の誕生日に似つかわしい最高のサプライズだと思ってな！］

［...俺たちは髪飾りは使わんから、きーほるだーとやらにしてもらったが］




目の前で、４人そろって笑いながら、私にキーホルダー型のそれを見せてくれて。

仕上げに光忠が、私の髪に飾りをつけてくれた。


＿＿＿嬉しかった。
この５人だけの秘密が出来た気がして。

母さんにもその後ちゃんと自慢しに行って。...そしたら。




［それはそれは...、良い物貰ったわねー！
...せっかく貰ったんだから、大切にしなきゃダメよ？毎日つけてたら、良い事あるかも！］




パチッ、と悪戯っ子みたいなウィンク。

...この本丸に私がいたという、唯一の証拠。




『だから...、その髪飾りだけは、絶対に失くさないように肌身離さず＿＿＿、ッ！！』

「...なぁ、君」

「.....何で俺たちだけ、あの審神者からの支配力が薄かったのか、何となく分かったぜ...！」

「...これが、あったからだ」

「＿＿＿だから、僕たちだけがあの人の言いなりにならずに済んだ...！」




それぞれが、シャラリと。

ジャージのポケットなり刀の鍔なりから、何かを取り出し、確認し合うように見せ合う。


そして、それは。




『......！』

「...この存在さえ、忘れかけていた...。何で俺たちがこれを持っていたのかっていう理由は、今、思い出した」

『......え』





こちらを見る目つきが、皆、変わる。

ただの他人を見る目から、
...ずっと一緒にいた、家族を見る目に。




「...A、ちゃん...、だよね？」

『〜〜〜ッ！！』




ぶわっ、と。

言い様のない感情が、心を突いた。

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