399話 ゼロの執行人 ページ50
持っていた紙袋を風見さんに差し出す。
『これ、渡してくれますか?降谷さんの着替え。弁当も作ってきたんだけど、夜までもたないだろうから、風見さん食べていいよ』
「えっ、いえ、自分は…っ!」
あわあわと首を振る風見さん。
『風見さんもあまり寝てないし、ご飯もまともに食べれてないんでしょ?あの人の右腕として、頑張ってほしいから、ね?』
そう言うとぐっと言葉を詰まらせ「ありがとうございます…」と受け入れてくれた。
『じゃあこれ。食べ終わった弁当箱は、降谷さんに渡してください。大変でしょうけど頑張ってくださいね』
紙袋を渡して、俺はヘルメットを被った。
戸惑った様子の風見さんを残して、俺はその場を走り去った。
あとでメールだけでも入れておこうかな。
零さんが着替えをとりに家に帰ってきたら、入れ違いだし。
そんなことを考えながらバイクを走らせていると、前方に小さな彼の姿を見つけた。
車道の端っこを、スケボーに乗って爆走している。
急いでいるんだろうか。
僅かにバイクのスピードを上げると、彼――江戸川コナンの横に並んでヘルメットのシールドを上げた。
『コナンくん。急いでるの?』
「Aさん!?本当にバイク買ったの!?」
コナンは俺を見て目を見開いた。
『まぁね。乗ってく?』
速度を落とすと、コナンも速度を落とし、スケボーを降りた。
ゴムロープでバイクの後ろにスケボーを結びつけ、子供用のヘルメットを渡す。
「用意周到だな…」
『君を乗せる日も来ると思って。買っておいてよかったよ。こんなに早く使うとは思わなかったけど。それで、どこに行けばいいの?』
「博士の家に。爆弾の破片らしいものが見つかったって留守電が入ってて」
ヘルメットを被り、俺の後ろに乗って腰の部分に抱きつくコナンを確認してから発進した。
『なるほどね。てか、どうやって破片を見つけたのさ』
「博士が作ったドローンで、爆発現場を撮影したんだよ」
ああ、この間言ってたドローンか。
それで爆発現場の撮影って…すごい技術だな。
『それ、俺も見て行っていい?』
「もちろん!」
嬉しそうな声が背後から聞こえて、思わず口元が緩んでしまった。
少しは可愛いところあるんじゃないか。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時