26.しなやか ページ29
烏野の変人速攻や最強の囮などの戦法によって、現在3−1で一応勝っている。
……いや、“いた”の方が正しいか。
音駒の圧倒的なレシーブ、烏野には無い力で段々と点差を縮められ、18−18で追いつかれてしまった。
……で、ついに、先に音駒のセットポイントである。
「うーん……なんか、やっぱり……」
「どうした、浦塚?」
「いやー、なんていうかさ……
菅原と話していると、日向と影山の速攻が音駒の七番のブロックに叩き落とされたのが見えた。
22−25。第一セットは音駒の勝ちだ。
第二セットに入っても、日向の速攻は七番にブロックされ続けた。
「ていうか、浦塚。さっき、なんて言おうとしたんだべ?」
「え、もういい」
「なんでだよ!!」
「別になんでも」
そっぽを向くと、菅原は諦めたようにまたコートに目を向けた。
烏野って、ほんと烏みたいに攻撃的だから、ああいう護りを固めたチーム苦手だよなあ……。
音駒が七点、烏野が五点で二点差が開いた頃、日向が速攻で初めて影山のトスを見た。
「日向、トスを見た……!」
「え……でもそれって当然のことですよね」
「普通はそうだけど! 日向の場合今までボールは完全に影山に任せてひたすらフルスイングだったのに!」
「った……、たたたタイムッ!!」
烏養コーチが椅子から転げ落ちるようにしてタイムをとる……と、その反動で菅原も椅子から落ちた。
「……大丈夫?」
「なんとか……」
タイムをとって烏養コーチが影山に言っていたのは、いつもより柔めのトスを出せっていう話。
空中で日向に余裕ができるようにするためらしい。
しかし、いざ合わせようとすると中々合わず、点差はどんどん開いていく。
烏野は二回目のタイムアウトをとった。
「すっ……すみません、おれ……ミス沢山……」
日向が謝ると、田中が自分をビシッと指さした。
「何を言うか!! 俺はいっつもお前のお陰でフリーで打ててるからな! たまには俺の方がカッコイイ試合があっても良いんだ!」
その後ろで東峰がウンウンと頷いている。やっぱりあの風貌であの穏やかな笑顔はちょっとアンバランスである。
西谷が「旭さんの方が決めてるけどな!」と口を挟むと、「うるせえ! とにかくいいんだ! ねっ!? 旭さん!!」と反論した。
「点は俺達が取り返す」
「あんまりやらかすと替えられちゃうカモだけどね」
「月島!!」
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昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありです! 烏野大好きです……。おまけ話みたいになるんですけど、浦塚さんはお勉強をよくしているので甘党という設定になっていて、それゆえに悩みがあんなエグいことになっています() (2021年9月3日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - コメント遅れたけど、烏野メインは最高です昆布様。あと、浦塚さん.....ココアにキットカットは流石に甘すぎるのでとりあえずヤバイっす。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年5月4日 8時