24.次への切符 ページ27
五月三日、夜。
「Aさぁーん! 貴女に会いたかったですー!!」
「……あ、……うん」
「無愛想な返答も美しい……!!」
この
塾からそのまま合宿所に戻って、ようやく合宿参加である。
「ちなみにAさん! ちょうどお風呂の時間です!」
「あ、そうなんだ。タイミング良かったな。ありがとう」
それだけ言って部屋に荷物を置いてお風呂に向かおうとすると、後ろから「Aさんに『ありがとう』と言われてしまった……!!」と声が聞こえてきたが無視した。
「____俺ら三年には、“来年”が無いです」
お風呂に向かう途中で誰かの話し声が聞こえて、隠れる必要なんて無いはずなのに何故か隠れてしまった。
角からこっそり覗いてみると、話し声の根源は烏養コーチと菅原だった。
「____だから、ひとつでも多く勝ちたいです。次へ進む切符が欲しいです。それを取ることができるのが俺より影山なら、迷わず影山を選ぶべきだと思います。な……生意気言ってスミマセン……」
覗かせていた顔を戻して、薄暗いせいで灰色と化した天井を見上げる。
それでも、そこから動くことはできなかった。
「大地と旭と一年の時から一緒にやってきました。一緒のコートに立ちたいです。1プレーでも多く。影山が疲れた時、何かハプニングがあった時、穴埋めでも代役でも……」
____『ちょっと悔しいけど、日向と影山の攻撃が四強相手にどれだけ通じるのかが見たくて』
「“三年生なのに可哀想”って思われても、試合に出られるチャンスが増えるならなんでもいい。正セッターじゃなくても出ることは絶対諦めない。その為によりたくさんのチャンスが欲しい」
「……菅原。俺はお前を甘く見てたみたいだ。正直、今お前にビビっている」
「はい!?」
「俺まだ指導者として未熟だが、お前らが勝ち進むために俺にできることは全部やろう」
「……お願いします!」
____漠然と、単純に、『本気なんだな』と思った。
本気で全国を目指す君達を見ていると、どうしようもなく、罪悪感とか後悔とか、いろんな気持ちが押し寄せてきて収集が付かなくなる。
前に、皆んなが言っていた気がする。
『春高に行く』と。
インターハイで仮に全国行っても、みんなはきっと_____。
「……」
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昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありです! 烏野大好きです……。おまけ話みたいになるんですけど、浦塚さんはお勉強をよくしているので甘党という設定になっていて、それゆえに悩みがあんなエグいことになっています() (2021年9月3日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - コメント遅れたけど、烏野メインは最高です昆布様。あと、浦塚さん.....ココアにキットカットは流石に甘すぎるのでとりあえずヤバイっす。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年5月4日 8時