23.絶望 ページ26
「澤村」
これから帰る、というところで澤村に声をかけた。
「合宿なんだけどさ、塾のテストと被って三日の夜からじゃないと行けないんだよね……ごめん」
「わかった。そうだよなあ……それに俺たち受験生でもあるしな」
「そうだよー……」
部活と勉強をうまく両立させないと。
ひとつのものだけに目を向かせると、いつか失敗する時が来る。
「ええっ、Aさん三日までいないんですか!?」
「耐えられない……!!」
田中と西谷が地面に蹲ってそんなことを言うもんだから、「私いないのたかだか一日半くらいだし、潔子いるじゃん」と励ましで言うと、「そうだ……! 我々にはまだ潔子さんが……!!」と顔を上げたので良かったと思っていたら菅原が余計な一言を言ってしまった。
「でも清水は合宿所から家近いから用事終わったら帰っちゃうよ。いつもそうじゃん」
田中と西谷が絶望したように地面に倒れた。
「ちょっと菅原! なに余計なこと言ってんの、余計に面倒くさくなっちゃったじゃん!!」
「Aさん!?!?」
*
_____五年前、五月。
『今年こそは全国の舞台でな!』
『ソレ毎年言ってるけどな!』
『うっせえ、今年こそだよ!』
_____翌六月、インターハイ予選、烏野高校は白鳥沢学園に接戦の末敗退。全国出場を逃す。
音駒高校もまた、東京代表の枠に惜しくも残ることはできなかった。
そして、翌年三月。
烏野高校は宮城代表として、音駒高校は東京第二代表として、春の高校バレー全国大会に出場。
_____が、烏野は第三回戦で敗れ、音駒は準々決勝で烏野を待つも対戦は成されず、音駒も準々決勝で敗退。
幾度となく練習試合を重ねても、公式の舞台で兵刃を交えることは一度もかなわぬまま、両チームの監督が引退。
それを機に両チームは衰退の一途を辿ることとなる。
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昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありです! 烏野大好きです……。おまけ話みたいになるんですけど、浦塚さんはお勉強をよくしているので甘党という設定になっていて、それゆえに悩みがあんなエグいことになっています() (2021年9月3日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - コメント遅れたけど、烏野メインは最高です昆布様。あと、浦塚さん.....ココアにキットカットは流石に甘すぎるのでとりあえずヤバイっす。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年5月4日 8時