16.自分のために ページ19
「……なんで？」
「二つ上の姉が吹奏楽部で、中学最後のコンクール……麗里が北一の前に本番やってて、すごく上手いソロが聞こえたって言ってて。姉と同じ楽器のソロだったらしいし……。感激したから一緒に写真撮ってもらったとか言って、それ見たんですけど」
中学時代のことを悶々と思い出す。
確かに、東北大会の代表をかけた県大会で他校の誰かに声をかけられて一緒に写真を撮ったような記憶がある。……あれが、この七番君のお姉さん？
「……あー、うん。……そうだね。麗里中でやってたよ、吹奏楽」
麗里中学校。ここら辺じゃ吹奏楽部のそれなりの強豪校として有名なところだ。
毎年東北大会には進んでいるほどの実力を誇り、三年前には十数年ぶりの全国行きも果たした。
「……吹奏楽、続けてないんですね」
「うん、まあ……。それで、あの……トイレってどこにあります？」
中学時代のことはあまり思い出したくないので、トイレという話題を切り出すと七番君は「あ、すみません」と言ってわざわざトイレまで案内してくれた。
ありがたい。
＊
「ねえ影山」
「？ ハイ」
バスで烏野に帰って、解散となったところで影山に声をかけた。
「あのさ、今日の試合に出てた青城の七番の子、中学一緒って言ってたじゃん？ 名前、なんて言うの？」
「……国見です」
「国見……」
国見……国見……。
＿＿＿＿＿『あのっ、すみません！ 北川第一の国見っていいます。写真一緒にいいですか！？』
「あ゛っ！？」
いきなり私が大声を出したせいで少し影山が驚いたので「ごめん」と謝って先に帰らせる。
そうだ。あの子だ。七番君もとい国見君と同じセンター分けで私と同じ楽器持ってた……あの子が国見君のお姉さん……。
「……今も続けてんのかなあ」
私は辞めちゃったからな。
別に怪我とか金属アレルギーとか、そういうのではなくて、自分のために、自主的に。
買ってもらった楽器も既に部屋の隅っこ暮らしとなっている。たまにお手入れはしているけど。
「……」
早くも初夏を思わせるような夕方の空を見上げて、私は首を振って中学時代の記憶を振り切った。
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昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありです！ 烏野大好きです……。おまけ話みたいになるんですけど、浦塚さんはお勉強をよくしているので甘党という設定になっていて、それゆえに悩みがあんなエグいことになっています() (2021年9月3日 22時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - コメント遅れたけど、烏野メインは最高です昆布様。あと、浦塚さん.....ココアにキットカットは流石に甘すぎるのでとりあえずヤバイっす。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2021年5月4日 8時
