夏の終わり、幼馴染が彼女になった。

once again ２６ ページ29

人が苦しんでいる時





いつも俺は側にいない





力になれない









周りは黒くて皆んな泣いている。




中心には静かに微笑むA









……………………の写真。









『Aは一昨日……



亡くなりました………』









「病気だったらしいわよ……」




「可哀想に……中学と高校には一回も行けなかったんでしょ？」







病気だったなんて





わからなかった。









Aは嘘が上手かった。





転校していたなんてのも嘘だ。



病名を聞いたし、冷え性でカーディガンを羽織っていたというのも嘘だ。



本当は咳をしていた。




袋を開けられなかったのも、もう上手く力が入らない体になってたからなんだ。






Aが線香花火をしていた時、言っていたこと


今ならわかる。






『そもそももう出来ないしね……』




いつもどんな時も嘘の匂いはしなかった。



俺が嘘をついているか匂いでわかると知っていて尚、嘘を吐き続けた。



それほどまでに俺にバレないように、嘘の練習をしてきたのだろうか。





だけどA





苦しかったなら





辛かったなら





言ってほしかった。







大切だから







君のことは何でも知っておきたかった。






A









余命幾許も無かったというのに






苦しかっただろうに





何でわざわざ最期に俺に会いにきたんだ？







弱くなった体でいつも歩き回って








俺が殺したようなものじゃないか







俺自身を呪いたい 殺したい









A








どうして……………







「……炭治郎君」



後ろからAと似た声が聞こえてきた。



Aのお母さんだ。






「……娘がね、これ……死んだら渡してほしいって…預かってて…」



差し出してきたのは一通の手紙だった。




「A……最期に炭治郎君に何か言ったのかしら…

読んであげて」



そう言ってお母さんは背を向けて行ってしまった。



涙を堪えられないんだろう。








何が書いてあるんだろうか





不安だったけど







Aが俺に伝えたいことがあるなら






俺は───────────

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