１６４、警戒されても ページ5
気にしなくて良いと言われても、気になるものは気になってしまうもので。
状態を確かめるついでに、念の除去について説明しにいくといってクロロの部屋を退室した私は、屋上へ繋がっているだろう階段を上がっていた。
暗くて足元が見えづらいが、完全に見えないというわけじゃない。ゆっくりと階段を上がって、
「っ！」
眼前に迫り来る瓦礫を寸でのところで避ける。誰かが投げたとしか思えない早さだった。
誰が投げたのかを確認しようと階段の上に目を凝らすのと同時に、舌打ちをする音が聞こえた。あの人影は……フェイタンだ。
「惜しかたね。あと少し投げるの早かたら殺れてたのに」
「……フェイタン、心臓に悪いからやめてほしいわ」
「お前の心臓止またところでワタシには関係ないよ」
「私が死んだら、貴方はまた敵の念に支配されるわよ？」
嘘だ。実際は死んでも能力はかかったままなので、フェイタンが再びあの念に体の支配権を奪われることはない。所謂脅しである。
効果はあったようで、彼は苛立ったような気配を出したものの、この話を続けようとはしなかった。
「……何しに来たか。悪巧み無駄よ、何かあたら団長がすぐ動くね」
「悪巧みはしてないわ。念の除去について話をしに来たの」
本当は、状態を確かめに来たということもあるのだけどそれは言わないでおく。どうやらちゃんと命令は効いてるらしく、彼の中にある操作の念も沈静化されていた。
初めての試みだったから不安だったのだ。効くかどうかもわからなかったし、効いたとして持続するかどうかもわからなかったから。
「何故そこまでするか」
「何故……って、除去したくないの？」
念の除去についての話というのが意外だったのかどうなのか、またもフェイタンから警戒を向けられてしまった。
「徐念したいよ。でもお前の手借りたくないね。そこまでしてワタシたちに貸し作て何がしたいか」
思えば、彼にとって部外者たる私を必要以上に警戒するのは当たり前のことだった。
見返りも何もなしに自分を助けようとしてくる人を見て、何かあるかもしれないと疑うのも。
彼らはA級犯罪者集団。賞金首ハンターが、マフィアが、世界が彼らの敵。
「……何も、するつもりはないわ」
「信用できないよ」
「でも私の能力にずっとかけられたままでいいの？」
「ワタシあの時蜘蛛のために死ぬ気だたよ。だから今死んでも支障ないね。違うか？」
そういうと、フェイタンは仕込み刀をスラリと抜いた。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
