１９８、名残惜しい ページ39
「彼ららしいといえばらしいよね◇さ、ソフィア、ボクらも行こう◇」
ヒソカに誘導され、そのまま三人で拠点を後にする。
暫く歩いて、隣を歩いていたクロロがおもむろに口を開いた。
「で、天空闘技場に行くんだったか？」
「そうよ。クロロはどこに行く予定なの？」
「そうだな、普段だったら一度隠れ家に戻るんだが……今回はソフィアに同行したいな」
朗らかな笑顔でクロロがそう言う。なんていうか、髪をあげているときとは違って幼げな笑顔だ。
それにキョトンとしていると、隣を歩いていたヒソカがふぅんと声をあげた。
「珍しいね、クロロ◆いつも用事が終わったらさっさと行方を眩ますのに◆」
「ヒソカがいるとなんか寒気を感じるんだよな」
「だったらついてこなきゃいい◆そうしたらボクはまたソフィアと二人っきりだ◇」
「欲しいものは盗る主義でな、そろそろ動く必要があると感じたんだ」
笑顔で会話をしているはずなのに、何故かどことなく二人の声が刺々しい。
意外と仲が悪いのかしら。そんなことを思いながら、クロロに声をかけた。
「それで、一緒に来たいの？」
「ああ。問題はないよな？」
「ないと思うけれど」
チラリとヒソカに目を向けると、パッチリと視線が合ってにんまり微笑まれた。
これはきっと大丈夫ってことだろう。
「ヒソカも大丈夫みたい」
「よし。なら問題ないな」
再びにっこりと微笑みあう二人。
何か通じあったような雰囲気に疑問が浮かぶが、気にすることでもなさそうだ。
二人の様子が可笑しくなってくすくすと笑みが漏れる。それからそっと、浮かんだ気持ちをポツリと呟いた。
「クロロが来てくれるの、嬉しいわ。お別れはやっぱりちょっと寂しかったの」
そっと本心を吐露すると、クロロが促すように此方を見下ろした。
「ヒソカと居るのも勿論好きよ。だけど、なんて言うのかしら。貴方たちといるのは楽しかったから」
ふと背後を振り返る。皆と過ごした拠点は、他の建物に阻まれてもう見えない。
「名残惜しい」
既に解散の号令は下されていて、拠点に戻ってもこれまでと同じ日々を過ごせるわけじゃない。
だからだろうか。得難いものと離れてしまったような気さえして、少しだけ頼りない気持ちになる。
じっと拠点の方向を見つめていると、同じように立ち止まったクロロが私の頭に手を置いた。
「気に入ったなら、次の仕事の時にソフィアもくるといい。お前ならあいつらも歓迎するさ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 334人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
