１９２、紅い夢 ページ33
【ソフィア side】
ゆらゆらと、紅い夢を見ていた。
血に染まった世界を歩く夢。頭の中に知らない声が響く。
──旅団を殺せ。
殺したくない。折角仲良くなれたのに。フェイタンとだって仲良くなれそうだったのに。
私の足は止まらない。迷わずに、真っ直ぐに動く。
どこに向かっているのかはわからないけれど、この先に旅団の皆がいる予感がした。
(嫌、殺したくない)
体が止まってくれない。どうしたら良いのかと焦っていると、いつの間にか人影が隣を歩いていたことに気付く。
その人影は、私が見たことのある人物だった。
「クラ、ピカ？」
クラピカのはずがない。彼とは、ククルーマウンテンの試しの門で別れている。
私が幻影旅団と行動を共にしていることだって知らないはずだ。
クラピカは私が声を発すると、私の方に顔を向けた。
「ソフィア、やっとだ。やっと私は旅団を殺せる」
「クラピカ、言ったでしょう。生半可な気持ちじゃ」
「生半可な気持ちじゃないさ。復讐したいだけじゃない。この先、幻影旅団が在ることで起こる悲劇を未然に防ぐために、奴等を殺すんだ」
「それは──」
それは本当に、殺さなければいけないものなの？
そう続けることはできなかった。隣にいたクラピカが走り出したからだ。
「待って！」
「お前の相手は俺だ」
突然降ってきた重厚な声に、追いかけようと踏み出した足を止めてその場から飛び退く。
今まで立っていた場所をナイフが通過する。
背後を振り返ると、シルバ＝ゾルディックがそこにいた。
距離を詰められる。鋭く尖った爪先が真っ直ぐに私の心臓を狙っている。
私はそれを避けようと身体に力をこめて、気付いた。
(身体が、動かない！)
全身が総毛立つ。このままでは不味いと警鐘が鳴り響く。
殺されるだけならばまだいい、復活できる。けれど今、私の身体は、持ち主の意思に反してシルバ＝ゾルディックを殺そうとしている！
(嫌、嫌、いや！彼はイルミのお父さんなのに、)
トン、と、軽い衝撃と共に胸を貫かれる。
同時に私は、シルバ＝ゾルディックの首を飛ばした。
止まらなかった。止められなかった。殺したくなんてなかったのに、本能が殺すことを楽しんでいた。
──そうだ、その男のように、旅団を殺せ。
また、知らない声が響く。私はその声の正体を察した。
「煩い、死人の念ごときが。黙って消化されてなさい」
悪夢が終わる。意識が現実の体へと、戻っていく。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
