１８１、激怒か敵意か ページ22
【ソフィア side】
徐念もあと少しというところで、フェイタンが急に動き出し……血を吐き始めて、倒れた。
壊れていく彼の体内に念能力で片っ端から治癒をかけていき、毒を無効化するけれど。苦しげに咳き込んでいる様子を見るに、完全に治癒を終えるまで油断はできない。
(一体どうして)
視線を辺りに走らせ、地面に落ちているナイフが目に入る。彼に纏わせていたオーラが、手に傷があることを知らせてきた。
殺気なんて感じなかった。誰がこれを。
思考を巡らせる私の斜め後ろで、誰かの足音がした。フェイタンが体に力を込める。
「中々の腕を持っている。あれに反応するとは」
「……シルバ・ゾルディック」
重厚な声。私を殺そうと動いている人。
「どうしてフェイタンを攻撃したの。貴方が狙っているのは私でしょう？」
「お前を狙った。だが、そいつが阻んだ。致死毒を塗ってあったのだが……ふむ、少しは耐性をつけているのか」
フェイタンを振り返る。彼は苦しげに血を吐くと、私の視線から逃れるように視線を逸らした。
「何故、庇ったの」
「お前には……関係ないことね」
「関係あるでしょう！ 答え……っ」
詰問しようとする私の後ろで気配が動いた。解放していた能力を行使し空気の壁を生み出せば、重々しい激突音と舌打ちが聞こえた。
どうやら、本当に、私を殺すつもりらしい。背後の気配は今度こそ殺気を見せて、隠そうともしない。痛いほどのそれに加え、シルバは練をした気配がする。フェイタンがそれに反応してオーラを揺らめかせたけれど、苦しいのか、練にはならなかった。
私のオーラが、治癒が完了したことを告げてくる。
「毒は治癒したわ。念も除去した。でも、急激な治癒に体が追い付いてないと思うの。だから……フェイタン」
「何ね」
「決して手を出さないで」
「何言てるか、こいつ私の敵も同然よ──」
此方に視線を移したフェイタンが言葉を失った。彼には、私はどういう風に見えているだろう。
きっと、きっと、笑っているに違いない。だってこんなにも”可笑しい”。
「お願い、手を出さないで。巻き込んでしまう、から」
ゆっくりと彼の体を私の上から退かし、立ち上がる。振り返れば、シルバは驚いたように目を見開いて、それから私を見つめた。
「それがお前の本性か」
シルバの言葉に、私は答えない。だって目の前にいるのは、敵だ。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
