１７７、恨みごと喰らう ページ18
じりじり。私が一歩近づくごとに、フェイタンが一歩下がる。
先程からずっとこの状態だ。徐念に入ろうにも一定の距離を保って逃げられている。
「逃げられたら徐念出来ないのだけど」
「手触れてるだけじゃ駄目か」
「そうしたらもっと時間かかると思うの」
「時間かかても構わないよ」
「雨降りそうだから早く終わらせたいのよ」
じりじりと逃げるのは変わらない。徐念はしたいようで以前の時みたいに森に入って逃げたりはしないけれど、全く近付けない。これではいつ徐念が終わるか。
追い続けて時間を消費するのも本末転倒だ。一つ溜め息をついて、足を止める。
「わかったわ。なら、手を繋ぐだけにしましょう。その代わり時間がかかるかもしれないけど、」
「やと諦めたか、ととと始めるね」
諦めの姿勢を見せると途端に逃げるのを止め、手を出してくる。その手に手を重ねると、私はもう一度溜め息をついて。それから、込み上げる笑いを堪えて距離を詰めた。
「……っ、」
「捕まえた！ 全く、頑固なんだから」
フェイタンの胴体にしっかりと腕を回して、逃げないように力を入れる。引き剥がそうと肩を押されるけれど、離さない。
「離すね、何ひついてるか」
「この方が除去しやすいのよ、諦めて大人しくしてて！」
「やぱ生意気よお前！」
「お前じゃなくてソフィアって呼びなさい！ 私にだって名前があるのよ！」
逃げようと力の入りきってたフェイタンの体が、不意に脱力した。どうしたのだろうと思いつつ、これ幸いと能力の枷を外し始める。
早く済ませないと。真昼だというのに、空が暗くなっている。
「……早く終わらすね」
「言われなくてもわかってるわよ」
私の纏うオーラが金色に変わり、黄金へと変化する。力が溢れるような感覚が沸き上がる。念を扱えるようになったときとは違う。溢れ出ていても、消耗することはない……どちらかというと、練の状態に近いような。
この力を十全に振るっていたときは感じなかったけれど、今ならよくわかる。私の能力は強大で、価値がある。
利用しようとする人間に出会わなかったのは。
(運が良かった、のね)
幸運なのか、それとも。そうなる前に排除していたからか。
ドス黒い思念に触れたのを感じ取って思考を巡らせるのを止め、＜捕食＞を開始する。
徐念の方法は単純だ。フェイタンの中にある操作の念を私が喰らって消化するだけ。
私が他を喰らうことができるからこその、方法。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
