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86、暗殺一家の本拠地へ ページ6

窓辺から、遠ざかっていくホテルを見下ろす。すっかり辺りは夕焼けの色に包まれていた。
思えば、ここ一ヶ月近くはすごく目まぐるしい日々だった。だからだろうか、あの場所から離れるのが名残惜しい。


「名残惜しそうだね」

「ええ、ちょっとね」

「そんなにヒソカと離れるのが寂しい?」


隣に立ち此方を見下ろしてくるイルミを見つめ返して、また窓に目をやる。


「ええ、少し。皆と離れるのが寂しいのもあるけど、こんなに長く誰かと一緒に行動したことはなかったから」


今、私はゾルディック家が所有する飛行船に乗っていた。イルミの言う通り、ヒソカは此処にいない。天空闘技場というところに行くことにしたらしい。
なんでも、そろそろ向かわないと地上落ちするとかなんとか……私にはそれが何なのかわからなかったけど。

イルミはふぅんと、どこか考え込むような響きを含んだ声で相づちを打った。


「なんでキルに会いたいの? 親に紹介できるから来る気になってくれたのは良かったけど」

「私は生きてるから大丈夫よって証明したいだけよ。泣かせてしまったから」

「そ。」


感情の読めない無表情で、イルミが視線を外す。ホテルは既に見えなくなって、海面が広がっている。


「イルミ、この飛行船ってお風呂はあるかしら?」

「あるよ」

「入らせてもらってもいい? 汚れたままだから、少しだけ気分が悪くて」


血の香りも凄いし。そう言えば、イルミが屈んで顔を頭に寄せてきた。吐息がくすぐったい。
匂いを確かめるように鼻を鳴らされる。


「うん、確かに凄いね。案内するから入っておいで」

「ありがとう」

「礼は要らないよ、あんまり血の香りがするとミケが興奮するんだよね。間違ってソフィアを襲うなんてことがあったら困るから」

「ミケ?」


歩き出したイルミに着いていきながら、気になった名前を聞き返す。


「敷地内で放し飼いにしてるうちの番犬。試しの門以外から敷地内に入ったやつを噛み殺してる」

「試しの門って?」

「うちの正門。部外者が敷地に安全に入るためにはそこを通らなきゃいけないんだよね。ソフィアにも開けてもらうから、よろしく」


タオルを渡され、着替えの有無を問われる。有ると答えるついでに、血で汚れた服の処分を頼んだ。
手放すのは惜しいけどもう着れないし、そのミケとやらが興奮するなら持っていない方がいい。それに、また一緒に買いにいく約束もした。

だから、大丈夫だ。

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作品ジャンル:恋愛
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時

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