115、無害な笑顔 ページ35
此方の出した条件を快諾した彼は、とりあえずこれ着なよ、と薄手のパーカーを肩にかけてくれた。
「着たいのは山々なのだけど、腕に針が刺さってて。抜いてくれる?」
「え? うわホントだ! よく平気だったね」
「刺さってから大分時間がかかってるもの。……ありがとう」
素早く抜いてくれた青年にお礼を言う。獣性を発動しているから傷口はすぐに塞がっていった。
それに驚かれる前にさっとパーカーを羽織ってお腹を隠す。
「ぶかぶか……」
「あはは、サイズ違うしね。ところで君も超能力者なの? 凄い早さで傷塞がってたけど」
「ええ……まぁ、そんなとこよ」
超能力というよりは念能力なのだけど、一般人は知らない以上は訂正しても仕方がない。
頷けば、彼はふぅんと言って笑った。
「護衛も超能力者なんだよね。腕は確かだから心配しないで……このままドレスとか買いにいこうか」
パーティーは今夜なのだそうだ。それは確かに急を要する、街中でパートナー探しをするのも頷ける……ような。なんとなく違和感があるけれど。
「ええ……えっと、貴方のことはどう呼んだらいいのかしら」
「セイって呼んで。本当はもうちょっと長いんだけど、あんまり外で明かすのはよくないから」
「お忍び?」
「そゆこと。いやぁ理解が早くて助かるよ」
お忍び中の富豪とかそんなところなのだろうか、服装がどこかラフな様相なのも納得がいく。イルミも私服はラフだった。
それにしても、歩き方に隙がない。護身用に武をたしなんでいると考えればそれまでだが、ここまで隙のない動きをするだろうか……。
(よくわからないわね。判断できる程人と接してるわけじゃないから)
あと護衛と言っていた方の視線も相変わらず鋭い。時折現れる気配に殺気も滲んでいる。
主人の側に身分のわからない女がいるということは安心できる状況じゃないのだろうけど。
「君の名前は?」
「ソフィアよ」
店の扉を開きながら問いかける彼に正直に答えれば、おお〜と感嘆の声をあげるセイの青い瞳がきらりと輝いた。
「ソフィアか。良い名前だね、君によく似合う。ご両親につけてもらったんだ?」
「いいえ、どちらかというと祖父……のような人?」
「祖父のような人? 家族じゃないの?」
「ええ、血は繋がってないわね。でも育ての親みたいな人かしら」
「両親は?」
「いないわね」
セイは読めない声色でそっかーと言うと、店員を呼んだ。サイズを測って合うドレスを探すらしい。
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時