113、身一つでこの先どこへ行く ページ33
【ソフィア side】
がむしゃらに道路を走っていた私を数十人の執事が追ってきていたのは、三日前の話。ずっと一睡もせずに走り続けて、今はそこそこ大きな街を歩いていた。
(どうやら街中じゃ襲ってこないようだけど)
数人に警戒されているような感覚に溜め息をつく。それがなくても今ソフィアは腹部の破れたドレス姿のままだ。しかも腕が動かせないせいで針も刺さったままである。血は止まっているけれど沢山の人にじろじろと見られて、徐々に機嫌も悪くなっていく。
当初の予定ではヒソカが向かうと言っていた天空闘技場だかに向かおうとしていたのだ。
けれどソフィアは最悪なことに、携帯もライセンスも入った鞄をゾルディックの屋敷に置いてきてしまっていた。今更戻ろうにも鞄がそのままあの部屋にある確証だってない。
そして、天空闘技場は同じ大陸にあるということはわかったのだけど、困ったことにライセンスがない以上歩いていく以外に道がない。
(所持金もなーんにもないものね……)
もう一度溜め息をつく。何をすることも出来ず、食事も睡眠もとっていないせいで疲労感は増すばかり。眠ることが出来ないために獣性を解除することもできない。
あまり見られたくない身としては最悪な状況だ。
イルミ達がどうなっているのかはわからないけれど、最後に聞いたあの言葉をそのまま受け取るなら一族全員で殺しに来るということ。
多人数を相手にしたって切り抜けられるけれど、さすがにその状態で殺さず怪我もさせず無力化は難しい。ましてや相手はイルミ含めて全員一癖も二癖もある。
正直なところ、ソフィアが考えられる手は全て手詰まりだ。
「ねえ、君!」
このままずっと獣性を発動し続ければ食事も睡眠も摂らなくてもいいけれど、目は戻らないから普通の人と話をするのだって困難だ。天空闘技場の話を聞くのだってかなりの人数に声をかけたし。
「ねえってば……聞こえてないのかな?」
またヒソカに出会う前の状況に戻ってしまった。どうにかしてお金を手に入れようにも、ライセンスや身分証が何一つない無国籍の時点で仕事なんか渡さないでしょうし。
「ストップ! 君さ、ちょっと手伝ってくれない?」
腕を引かれて足を止めれば、金髪の青年が此方を見下ろしていた。
一見すれば人懐こいようにも見える笑顔だ。けれど、外見の異常さが際立つ今の私に話しかけた時点で普通の人ではない。
「手伝うって、何を?」
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時