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106、感じていたもの ページ26

「あと、動いちゃダメだよ。まだ体調悪いんでしょ、寝てて」


言うだけ言って、すっと流れるような動きでイルミは扉の向こうに行ってしまった。
廊下に出たイルミの気配が遠ざかっていく。どんどん小さくなって、遂には感じ取れなくなった。


「……嫁にはならないと言ってるのに」


息を吐いて体の力を抜く。火がついたように熱い体と回る視界は毒の解毒がまだ先であることを知らせていて、動く気力など毛ほどもない。
寝れば獣性が発動するから治癒速度も上がるのだが、今はまだ眠る気もなかった。

一人で考え事がしたかった。体調は思わしくないものの、徐々にはっきりしていく意識のおかげで考えることはできる。


(下にいるの……同郷の子よね?)


ゾルディックの敷地内に入ってから、ずっと感じ続けてた気配。暗黒大陸で感じたことのある気配と同じもの。
何故此処にいるのか、とかは考えない。”あれ”が住んでいるのは私がいた場所よりも人の世界に近いし、道中で出会うこともあっただろう。

同郷であるだけに興味を抱いただけだが、この家の下にいるとなるとちょっと気になる。


(まぁ……呼びかけには反応するでしょうし。あとでイルミに聞いてみて、知っているようだったら放置しましょうか)


知っていて地下に置いているのであれば、それはこの家の責任だ。私が関与するものではない。
更に言えば、あれの持つ力は様々な欲望に溢れている人間の世界向きではない。
自分の意思を優先する上に学ぶ環境があったソフィアとは違って、どこまでも他人に依存するその存在は、自由を求めていても自由にしてあげることはできないのだ。

だから知らなかった場合は、あれを暗黒大陸に強制的に帰らせる。


獣性を発動して空間を操れば造作もない。問題は、枷の緩みすぎで人間としての感情が薄れるところだけど。


(眠れば能力もリセットされるから、問題はないかしらね)


仰向けでいることに疲れを感じて、ゆっくりと体に力を込めて横向きに寝転がる。途端にぐわりと頭が揺れるものだから、小さく呻き声をあげた。


(何にせよ、毒が抜けるのはまだ先みたい)


未だぼんやりとした意識は、目眩のせいで眠気を訴えることはない。気分も悪く、大人しく横たわっていた方がいいようだ。

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作品ジャンル:恋愛
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時

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