赤井秀一の悪友4th【名探偵コナン】

答え合わせはもう少しだけ先 ページ32

奴らを追い払ってすぐ、私たちは杯戸中央病院へ向かった。保護した水無怜奈の入院先だ。

「その彼ら…せめてもう二、三人捕まえる事ができたら…。二人があの場にいたなら、可能だったでしょう？」

「足を撃ち抜く事もできたが、防弾ジャケット越しに弾をぶち込むだけに止めたよ…」

『下手に足止めして、街中で銃撃戦になれば一般人にも被害者が出かねなかったし…。私もすごく不本意なんだけど、後を考えて止まったんだから』

『フ…よく我慢してくれたな。あの場合、発信機と盗聴器を仕掛けたのはFBI(われわれ)だと奴らに思わせる事が最優先…だったんだろ？』

「そうだけど…」

秀一が私の頭を軽く撫でて、病室のドアを開いた。

「それにまだ奴らとの糸は…切れたわけじゃない…」

病室で眠るのは、組織への糸…水無怜奈。

『ここに秘密裏に匿うのはいいとして、突然消えたアナウンサーへの対策はどうするつもりですか？』

「大丈夫！あの子がうまくやってくれるらしいから…」

「またあのボウヤか…何者なんだ？」

「探偵よ…私のお気に入りのね…」

下の広場に見えたのは、予想通り江戸川コナン少年で。今を逃すといつ面と向かって話す機会があるとも分からないので、皆に断りを入れて私は部屋を出た。

ーーーー

「はい、申し訳ありません…よろしくお願いします」

『…見事なものねえ、それで声変えてるんだ。あったら便利だなあ…』

しっかりと通話を終えた所を見計らって、私は少年に声をかけた。案の定驚愕の表情を浮かべてこちらを振り返る彼に、笑ってしまう。

「…お姉さん、FBIの人だったんだね」

『ええ、隠してたのは謝るわ。でもこちらも目立つ訳にはいかない事情があるから…』

「ねえ、前にジョディ先生とゲームセンターにいたのはお姉さんだよね？」

『That's right!あれは大した変装でもないし、よく考えたら分かっちゃうわよね』

少年の目は真剣に、こちらをじっと見つめている。

『…まだ何か、聞きたい事がある？』

「ボクとお姉さん…それより前にも、会った事ある？」

『どうしてそう思ったの？聞かせて』

まだ確信の持てきれていない、探り探りの表情。

「さっき、お姉さんこれを見てあったら便利だなあ…って言ってたから。普段から別人になりすまして生活する事が多いのかなって」

『あれだけで？まあ…"人の真似は得意じゃないけど"』

少しだけジョディの声を思い出しながら声を出すと、少年は驚いた顔をした。…自分で言ったくせに。

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