【番外編】ハグの日(遅刻) ページ13
『人間は30秒のハグで、一日のストレスの三分の一が解消出来るらしいよ』
「…ホー?」
唐突な私の言葉にも秀一は慣れたもので、ならおいで…と言わんばかりに腕を広げてこちらを見た。そういうつもりで言った訳ではなかったのだが、律儀に煙草まで消してくれた事が嬉しいので、遠慮なく彼の腕の中に飛び込む。
「30秒でいいのか?」
『んな訳ないでしょー、しばらくこのままで』
「了解…」
小さく笑った彼が、一定のリズムで私の背中を優しく叩く。何だかあやされている子供の気分だ。
『(秀一の匂い…落ち着くなあ)』
思わず彼の胸元に頭を寄せると、彼の手がそっと後頭部に回って撫でられる。
「お前の言葉に脈絡がないのはいつもの事だが、今日はどうした?やけに甘えてくるな」
『世間では、9日がハグの日だったらしいんだけど』
「ホー?」
『何もせずに仕事だけで終わったって思ったら、なんかもったいなくて』
ふと思い出した頃には、とっくに日付は過ぎていた。何でもない日にやった所で多分、特別な意味はないのだが…それでも。
「お前らしい理由だな。ところで、好意を持つ相手とのハグは幸せになるとも聞いたんだが」
『へえ…確かに一理ある』
「後は、目を合わせて会話するのも良いらしい」
促すような言葉に、顔を上げて彼と目を合わせる。まじまじとこちらを見つめる目が少し擽ったい気分だ。
『…見すぎじゃない?』
「見てるからな、当然だろう」
『ストップストップ、近い』
ごく自然な動作で触れそうになった彼の口を、手の平で抑える。不服そうにもごもごと口を動かされている感触がはっきり分かって少し羞恥を感じた。
『あのね、女はこうした軽い触れ合いだけでも充分幸せになれるの。もう少しくらいそのままでいさせてよ』
恐る恐る口を解放してやると、ものすごく渋々唇を尖らせて少しだけ顔を離した。
「安上がりだな…男からすれば、物足りないんだが」
『安上がりで良いの、女は立ち直りも切り替えも早いのよ』
納得のいかない顔の彼に、軽く触れるだけのキスを自分から送る。案の定その隙を逃さない彼は、そのまま私の頭を抑えて噛み付くように唇を貪る。唇を離すと、彼は挑発的に舌舐めずりをした。
「…ハグだけで良かったんじゃなかったのか?」
『言ったでしょ、切り替えも早いんだって』
どうやっても逃れられない事態に、私はついに諦めて身を委ねたのだった。
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2日前?いいえ書き終わるまでがハグの日だから!楽しかった…
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リュウヤ(プロフ) - 優花さん» メッセージありがとうございます。私はまだ映画を見られていませんが、赤井さんが1番の推しです。なかなか話を書く余裕がないため一旦停止としてますが、見つけてくださってありがとうございます。励みになります! (2021年7月6日 0時) (レス) id: 8b594e4d48 (このIDを非表示/違反報告)
優花 - 緋色の弾丸を見て、ココに来ました。 赤井さんはカッコいいですよね! 詳しくはないですが、コナンの中で、一番の押しです。 更新停止なのは仕方がないですが、復帰を願っています!頑張ってください! (2021年7月4日 20時) (レス) id: ef3d2855ab (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 真由さん» メッセージありがとうございます。理想だけ詰め込んだ赤井さんです…!映画もうすぐですね、ぼちぼち構想練ろうかな〜と思いつつあります。観に行ったら正気でいられる自信がないですね…w (2021年4月14日 17時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 丸々1日かけて一気読みしました!めちゃめちゃめちゃ好きです!!!毎シリーズ(?)赤井さんのスパダリ具合にぎゃあぎゃあ叫びました笑次の更新までにもう一周してこようと思います。(((\(≧∀≦`)/))) (2021年4月13日 20時) (レス) id: 553236276e (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 星の桜さん» メッセージありがとうございます。随分前の作品を見てくださってありがとうございました。そちらもコロナにはお気を付けて。気長にお待ちください! (2020年4月27日 8時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年7月27日 23時