D.gray-manー2人で歩く道 (ページ9)

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蝋花の答え① ページ9

蝋「…」

事実を伝えられると、蝋花は暫く黙っていた。
目を大きく見開いて、信じられない、というような表情をしているのがAにもわかった。

Aは沈黙を破り、再び話し始めた。

『…蝋花ちゃんのことを傷つけるのは百の承知だったよ。…でも、蝋花ちゃんが知らないままでいる方が、絶対良くないって思ったから。ちゃんと正直に伝えておきたかったの』

『…私のこと、嫌いになってもいい。ーーこんな酷い奴と、口なんか聞かなくていいから』

蝋「……そんなこと…できませんよ」

『…！』

蝋「…ちゃんと伝えに来て下さって、嬉しかったですよ。」

そう話す蝋花は辛そうな顔1つせず、真っ直ぐにAの目を見て、微笑んでいた。

蝋「私、なんとなく……察してました。」

『え？』

蝋「…実は、前にウォーカーさんがこちらに運ばれて来たあの日、医療室でAさんと2人で話しているところ…こっそり見てしまっていたんです」

『！？』

ーーこの左腕には、今までのアレンくんの人生が刻まれてる。アレンくんの、生きた証…

蝋「あの時…Aさんのウォーカーさんを思う気持ちが、本物なんだなって…気づいたんです。

Aさんが恋愛感情をわからないとしても、私にはかないっこないなって、思っちゃいました。」

『…ううん、そんなことないよ。蝋花ちゃんは、私よりもずっと前からアレンくんのことを思っている訳で…私なんかより…沢山彼を支えて来たんでしょう？』

蝋「もちろん時間は圧倒的に長いんですけど、そんな単純なことじゃないと思うんです。

…それに、私は影で支えることしか出来ませんから。でもAさんはウォーカーさんと同じ立場で、共に戦うことだって出来るんです。

私にはそんな力はありませんし、結局は守ってもらう側になってしまいますから。

ウォーカーさんも、Aさんに何度も救われたって話してました。」

『…！』

蝋「むしろ、お2人が結ばれたって聞いてほっとしてるんです！

…ウォーカーさんが本当に幸せになれるのならば、私は影で見ているだけでも全然構いませんから」

『蝋花、ちゃん…』

蝋「ふふっ。それでもまだ、この気持ちを諦めたりなんかはしませんけどね！」

笑顔でそう返してくれた彼女は、何て強い子なんだろう。

『うんっ…本当にありがとう』

Aはそっと、蝋花を抱きしめた。