貴女の幸せだけで ページ5
ーー食堂にて。
『…私の顔、何かついてる??』
ラ「んーん?ついてないさよ」
そっか、と呟いて再び真っ赤なスープを口に運ぶ。
偶然会ったので、2人向き合って食堂で昼食をとっているのだが、何となくさっきからラビからの視線を感じてしまうのだ。
『…もしかして、私マヌケ面してる?』
ラ「ん!?マヌケ面!?してないさ!!」
『そっか…昨日神田くんにそう言われちゃったからてっきり…』
ラ「なるほどな…ユウが……でも、」
頬杖をつきながら、ニヤニヤした表情で口を開く。
ラ「前よりも嬉しそうな顔、してるな〜とは思ったさ」
『…嬉しそうな顔…』
ラ「うん。…ホント、良かったさ。俺もAちゃんのそんな表情見れたら充分しあわせ」
前まで色々悩んでたもんなあ、と笑顔で続ける彼を見て、Aは そっか、とまた呟く。
『うん。ラビくんのお陰でもあるんだよ、私がここまで来れたのは…
ラビくんにはバク兄と同じくらい、私の話聞いてもらっちゃってたから。本当にありがとう。』
笑顔でそう礼を告げると、ラビは自然と優しい表情で返した。
ラ「どういたしまして。いつでもお兄ちゃんになってやるさ!」
『ふふっ。…きっとこれからも、色々相談にのってもらうかも知れないなぁ。…何ていうかラビくんは、イエスともノーとも言わず話を聞いてくれるから。話しやすいんだろうなあ。』
その言葉にラビは軽く目を見開いたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
ラ「そっか。それは嬉しいことさね。…いつでも来ていいさ。アレンに泣かされた時もな!…ま、そんなことはある訳ないか」
『ふふっ、ないと思う!…ラビくんにはたくさん助けられて、たくさん応援してもらったから、その分私、頑張るね!』
ガッツポーズを作るAを見て、ふと彼はまたあの感情を沸き起こしそうになった。
でもそれは抑えて、そっと手を伸ばして彼女の髪をわしゃわしゃと撫でてやる。
『わっ』
ラ「ん。俺は応援してるさ、お前達2人のコト。
……幸せになってな、A」
『…うん!』
…やはり、想いを抑えながら過ごすというのは容易いことではなくって。
ーーそれでも何故か、幸せそうに笑う彼女を見れば、自分の気持ちなどどうでもいい、と感じてしまうのだ。
ラ(…お前が幸せなら、もう何だっていいんさ。)
ーーAが、隠された彼の気持ちに気づくことは二度と無いだろう。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時