D.gray-manー2人で歩く道 (ページ32)

今日:44 hit、昨日:7 hit、合計:28,015 hit

あなたしか考えられないページ32

『…でもね。今、アレンくんと話して、だいぶ心が軽くなって…ちゃんと、自分の気持ちに整理がついたんだと思う。』

ア｢…それなら良かった。

…僕だって、まだまだAのこと知れていませんよ。出会ったばかりなんだから当たり前です！

…だから、お互い少しずつ知っていきましょう。時間は沢山ありますし、過去に対して焦る必要も、不安になる必要もありませんよ｣

ずっと握ったままであった彼の左手が、彼女の指と指の間に絡まるように繋がれた。

しっかりと伝わる彼の手の温もりに1層安心しながら、ぎゅっと握り返す。

ア｢…それに…｣

そう続けると、アレンは彼女から視線を外した。
疑問に思いながら彼の顔をよく見ると、頬が赤くなっているのがわかった。

ア｢リナリーに嫉妬したって聞いて…正直喜んでしまいました｣

『えっ』

ア｢あははっ。Aも嫉妬、するんだなって思って。…嬉しかったんですよ｣

『…そ、そっかあ…ーーきゃっ！？』

彼の意外な発言に、Aも思わず照れてしまっていると、隙もなく繋いだ手をぐっと引き寄せ、顔を近づけた。

ア｢僕だって、嫉妬することは沢山ありますからね、A。｣

『…あっ、アレンくん…』

戸惑っていると、クスリと彼は笑う。
そのまま、優しく触れるだけの口づけをした。

『…っ！？』

ア｢ふふっ、真っ赤で可愛い。…だから、Aもあまり無闇に男性に近づいてはいけませんよ。僕も気をつけますから。｣

『うっ、うん！』

突然の発言とキスに頭が追いつかないまま返事をする。未だに顔の熱は冷めないままで、恥ずかしさのあまり顔を手で覆う。

ア｢…すみません、色々と突然すぎましたよね…｣

『ううん！私が慣れてないから…！心臓がバクバクしちゃってて…』

えへへ、と照れ笑いするAを、彼は微笑みながら見つめる。

ア｢…A、色々と話してくれてありがとう。｣

『！』

ア｢君のことを好きになった時からずっと、力になりたいって思ってました。

それがやっと…Aの悩んでいたことを知ることが出来て、少しでも楽になったのなら、僕は本当に嬉しいんです。｣

彼のそんな言葉に、Aは目を見開き、勢いよく彼に抱きついた。

ア｢わっ！？｣

『ーーありがとう。…私には、アレンくんしか考えられないや！』

そう告げた彼女の笑顔は、今までの中で1番輝いているように、彼の目には見えた。