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言いたいこと ページ30

『…えっ、えっと……』



壁に迫られた状態で、綺麗な彼の顔が黒い微笑みを浮かべながら、じりじりと近づいてくる。
顔と顔の距離はかなり近い。


そんな彼の圧に逃げられないとわかっていても、彼女は言葉を濁して目をあわせようとしない。



『(アレンくんが怖い〜!どどどうすれば…)』


ア「…」



アレンは笑顔のまま暫く黙っていたが、彼女の様子を見てすぐには口を開いてくれそうにないな、と察した。


そして。



『アレンくん…?ーーきゃっ!』



いきなりAをひょいと持ち上げ、お姫様抱っこをしたまま歩き始めた。
彼女は顔を赤らめ、じたばたと動く。



『ちょっ、どうしたの!?とりあえず下ろして!』


ア「じっとしててください、落ちちゃいますよ!


…このままじゃ埒が明かないので、ちゃんと部屋で話しましょう。」


『…!』



怖いオーラを出していた彼だったが、その話し方は優しくて。
彼と、ちゃんと話すべきなのだ と悟った。



『…うん…ありがとう…』


ア「いいえ。(…A、やっぱり軽すぎだなあ)」



〜〜



そして、アレンの部屋に連れてこられた。
2人並んでベッドに腰掛ける。



ア「…じゃあ早速。…まずはA、何か僕に言いたいこと、ありますか?」



彼が真剣な眼差しでこちらを見ながら、優しい声でそう言った。



『言いたい、こと…』



彼女は少しの間じっと考えた。



…彼はきっと、言い出すのにどんなに時間がかかっても、ずっと待っていてくれるのだろう。



自分から気づかれないようにしよう、と彼の為にしていたことが、実際には逆に、彼を心配させているのだ。



自分の気持ちはどんなことでも、打ち明けるべきだった。
どんなことでも彼は、ちゃんと受け止めてくれるのだから。



そんなこと、とっくにわかっていたのに。



『ーーちょっとだけ、寂しかったんだ。』


ア「…!」


『…それと、不安にもなってた。…アレンくんと付き合うのが、私でいいのかなって。』


ア「そんなのっ…!」


『うん、知ってるよ。

…ちゃんと分かってるはずなのに、こんな心配しちゃう自分が情けないなって思って。

…だから、アレンくんと話しにいけなかったの』



すると、彼女は少し寂しそうに笑いながら、彼の袖を力なく引っ張る。



ア「…A?」


『アレンくん…抱き着いても、いい…?』





寂しさと不安に溢れた、力ない声。


目の前の彼女は、今にも壊れてしまいそうだった。

笑顔の裏に隠されていたもの→←圧



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作品ジャンル:アニメ
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時

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