圧 ページ29
(ーーとうとう、2人を避けることまでしちゃった…あれからずっと、気持ちが重たいな…)
アレンとリナリーに声をかけることもせずに1人で食事を済ませ、どうにも落ち着かない気持ちを何とかしようと書庫にこもることにした。
…が、本の内容すら頭に入らなかったので、結局自室に戻ることになった。
(ジェリーちゃんにまでバレるくらい、顔にも出ちゃってるみたいだし…気にしちゃダメだ!)
両頬をペチンと叩いて、切り替えようとしながら歩いていた彼女だったが、突然慌てて廊下の曲がり角に隠れた。
(びっ…、びっくりした…!!)
ーーちょうど、向かいからアレンが歩いてくるのが見えたのである。
(…なんだか咄嗟に隠れちゃったけど、逆に怪しまれちゃうよね…)
何やってるんだ自分、と思いながら、アレンが気付かずに通り過ぎることを願いじっと待つ。
…すると。
ア「ーー何してるんです、A。」
『わっ!』
知らない間に、目の前に彼が立っていた。
驚きのあまり、思わず声が出てしまった。
『あっ、アレンくん…』
ア「すみません、驚かせちゃいましたか。…こんな曲がり角で、何してるんです?」
『…アレンくんが遠くから歩いてくるのが見えたから、驚かせようかなって思って!待ってたの!』
ア「え、そうだったんですか!Aもお茶目なことするんですね〜」
あはは、と彼が笑ってくれたので、不自然にならずよかった、と胸を撫で下ろす。
今の複雑な気持ちを抱えた状態を、出来る限り彼には気づかれたくない一心であった。
『失敗しちゃったけどね!ふふっ。
ーーそれじゃあ、私はこの辺で…(ドンッ)わっ!?』
その場を離れようとすると、彼の腕が素早く目の前に伸びてきた。
言うなれば、壁ドンをされ、彼の腕が彼女の逃げ場を塞いだ、というような状態である。
ア「……僕がなんにも気づいてないと思いました?A」
『…え…?』
ア「…さっき、食堂にいたのに話しかけに来なかったですよね?」
『(ぎくっ)』
ア「今もそう。僕に気づいた途端不自然に隠れたの、見逃してませんからね…」
『(ば、ばれてたんだ…)』
彼は彼女の横に手をついたまま、ゆっくり顔を近づけた。
いつもと変わらぬ笑顔だが、今は圧が込められているのがAにも感じられた。
そして、逃げ場もないことも。
ア「…ちゃんと話してもらえますか?A…」
(アレンくんの笑顔が…黒い……)
彼に隠し事はするべきではないのだ。
112人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時