意外 ページ27
ーーある日、廊下にて。
『…あ、ペック班長!おはようございます!』
ペ「ああ、A・チャンではありませんか。おはよう。」
明け方に任務から帰還し、報告を終えて自室に戻るところで、書類を手にして考え事をしながら歩いていたペック班長に出くわした。
ペ「…任務帰りでしょうか。今回も無事で何よりです。」
『ありがとうございます。ペック班長は、これからまた科学班室に戻られるみたいですね』
ペ「ええ。なんと言っても仕事が絶え間ないものでして。……そういえば」
何かを思い出したかのようにそう切り出すと、班長は難しい表情で彼女を暫くじっと見つめた。
そんな彼を、Aは疑問に満ちた表情で見上げる。
『…はい、何でしょう…??』
ペ「…彼と付き合い始めたらしいですね。……アレン・ウォーカーと」
『…ああ!そうなんですよ、結構前のことなんですけれど。』
ペ「おや、そうでしたか。今でも団員や科学班の方でも話題に上がっているらしくてね、私はつい最近知ったのですが…意外だなあと思いまして」
『意外…ですか?…まあ私、鈍感で恋愛経験も全くありませんでしたしね』
そう笑顔で返したものの、班長の表情は何かを企んでいるのか、怪しく笑っていた。
ペ「いやあ、貴女がお付き合いすること自体が…というよりかは、ウォーカーが貴女と付き合うということが驚きでして」
『えっ、そうですか?』
ペ「ええ。…まあ私個人の見解なのですけどね、てっきり彼は、リナリー・リーと付き合うのかと思ってました」
『…リナリーちゃん、ですか?』
ペ「ええ。貴女が帰還してくる前は、あの2人は密かに噂にもなっていたようでしたし。…何より、かつて多くの任務や戦いを共にしてきた2人でもあるらしいですしね。…なんとなく、お似合いだなあと勝手に考えてました」
『なるほど…そうだったんですね!』
ーー班長の発言に、少なからず胸が痛くなった。
それでも彼女のことだ、そんな素振りは一切見せず、笑顔で言葉を返すしかなかった。
『…それでも今、アレンくんの彼女は私ですから。意外だと思われてしまっても、それは変わりません。』
それでは失礼します、と会釈をしてその場を立ち去った。班長も笑顔で軽く会釈をして歩いていった。
〜〜
(……私がいなかった時のこと…かあ……)
ーーああは返したものの、自室に戻ってからもずっと、班長の言葉が胸に突っかかったままだった。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時